この所、寒くてあまり動きたく無いのでyoutubeで音楽を聴くことが多くなりました。

 

寒いと言っても、部屋に居れば昼間はサッシを通して暑いくらいの日差しが入るので、朝晩のことだけなのですが。

 

youtubeは恐らく音源はCDだと思いますが、レコードのCD化にあたっては改めて音質調整がされていることもあり、ちょっと音楽を聴いてみようという時に、わざわざレコードやCDを取り出すまでもないくらいの音質だと感じています。

 

文字通り指先だけで数多の演奏を聴けるのは、いい時代になったものです。

 

それでも。特にアナログレコードの音には格別の愛着があります。

 

今回の”私の視聴室”では、久しぶりに冷えきった部屋から持ってきたベートーヴェンの「序曲集」のレコードを聴きたいと思います。

 

 

カラヤンとベルリン・フィルの1965年(一部1969年)録音のレコード。

 

なぜこのレコードにしたかと言うと理由があります。昨日何気なしにyoutubeで聴いたフルトヴェングラーとウィーン・フィルの「フィデリオ序曲」のあまりの素晴らしさに驚かされたからです。

 

もちろんフルトヴェングラーとカラヤンでは演奏の組み立て方自体が違います。それはカラヤンだけでなくベームだって、バーンスタインだってフルトヴェングラーのようには演奏しません。

 

フルトヴェングラーの最後の追い込み方は専売特許のようなものなので、それを真似するよな愚行は誰もしないと言うことなのでしょう。

 

カラヤンはフルトヴェングラーがテンポの変化でやったことを、ダイナミクスの幅で表します。このレコードが録音されたのはカラヤンがフルトヴェングラーの後を襲ってベルリン・フィルの首席指揮者に就任して10年。

 

ベルリン・フィルハ完全にカラヤンの楽器になっています。それ以降は録音技術の進歩によってそれを余すことなく再生していく過程を見るようなもの。

 

🔶「エグモント」序曲

 

久しぶりにレコードプレーヤーの電源を入れた訳ですが、スピーカーから「ブーン」という低いハウリングが聞こえてきます。

 

大体アースの問題だろうとラックの裏を調べてみるとフォノイコライザーのアースが外れていたので繋ぎ直して一安心。

 

「エグモント」序曲、粒揃いのベートーヴェンの書いた序曲の中でも有名です。

 

最初の和音から、「やっぱりレコードはいいなあ」と思います。レコードの溝を針が直接引っ掻いて音を拾ってくる感じ。

 

しかし、一本の溝からこんな風に楽器の音が再現される工夫には驚かされるばかりです。(CDがレーザーでその連続した凹みから音を拾い出すに至ってはもう訳が分かりませんが)

 

最近は指揮者の演奏スタイル以上に、オーケストラの持つ響きが気になるようになりました。

 

そんな風に聴いた時、指揮者によってオーケストラの響きってこんなに変わるものかと驚くこともあります。

 

カラヤン指揮のベルリン・フィル。やっぱりこの組み合わせは素晴らしい。

 

🔶「コリオラン」序曲

 

この曲は、ベートーヴェンの序曲の中では「レオノーレ序曲第3番」と並んで好き度合いが高い曲。

 

ブラームスの「悲劇的序曲」はこの曲を下敷きにしたんだろうと勝手に思ってます。

 

最後、冒頭の厳しい和音が戻ってくる辺り、そして最後暗く静かにピチカートで終わる。これぞカラヤン/ベルリン・フィルって感じです。

 

🔶「フィデリオ」序曲

 

ベートーヴェンが自身唯一のオペラ「フィデリオ」のために書いた序曲。

 

ベートーヴェンはこのオペラを2度改訂し、その都度別の序曲を書いていますが、その最後のものがこの「フィデリオ」序曲。

 

ここにフルトヴェングラーの熱狂はありませんが、カラヤンも堂々たるものです。ちょっと最後の部分を聴き比べてみましょう。

 

フルトヴェングラー/ウィーン・フィル

 

 

カラヤン/ベルリン・フィル

 

私は家族がプレミアム会員なので普段広告なしで聴けているのですが、カラヤンのものは特に広告が入ってしまうのが残念です。

 

またCD化にあたってどうやら高音を持ち上げるような操作があるようで、ちょっと高音部に聴きづらい点があるのも残念です。

 

 

スタイルの違いがはっきり感じられませんか?

 

どちら好きかは好みの問題ですが、私はどちらも好きです。

 

🔶「レオノーレ序曲」第3番

 

「フィデリオ」序曲に落ち着く前にオペラの序曲として書かれた曲。

 

あまりの素晴らしさに、使わないのは勿体無いとばかりにマーラーがオペラの曲中に演奏するようになってから、それが定着したくらい。

 

心なしか、カラヤンも力が入っているいる感じ。

 

トランペットのファンファーレに続く、フルートとファゴットの掛け合いの見事さ。そして最後1stヴァイオリン、2ndヴァイオリン、ヴィオラ、低弦と逆落としのように同じ音型を追いかけていく所、この曲最大の聴きどころでしょう。

 

 

 

ここはどの指揮者で聴いても素晴らしい所ですが、カラヤン/ベルリン・フィルは格別だと思います。

 

 

🔶「アテネの廃墟」序曲

 

ベートーヴェンは案外多くの序曲を書いていますが、人気が高いのは今まで聴いてきた4曲ですし、それで十分だと思います。

 

レパートリーがやたら広いカラヤンですからもちろん全部録音しています。

 

が、「こんな曲も書いたんだな」程度の曲です。