バッハの「音楽の捧げもの」は私には馴染みのない楽曲でした。

 

バッハは「ロ短調ミサ」、「マタイ受難曲」、「管弦楽組曲」そして「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」で十分でしたから。

 

「音楽の捧げもの」は多分「ブランデンブルグ協奏曲」のようなものだろう、と勝手に想像して聴いて来ませんでした。

 

今回改めて聴いてみて思っていた音楽とは全然違って、私のバッハのお気に入りが一曲増えました。

 

 

    バッハ:音楽の捧げもの

            

     アカデミー・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ

     指揮:サー・ネヴィル・マリナー

 

🔸音楽の捧げもの

 

  バッハが1747年5月7日にフリードリヒ大王の宮廷を訪ねた際、次のようなテーマ

  を与えられ、その場で6声のフーガを即興演奏するよう求められました。

\relative c'{
    \clef treble
 \key c \minor
    \time 2/2 
    c'2 ees      | % 1
    g aes      | % 2
    b, r4 g'      | % 3
    fis2 f      | % 4
    e ees~      | % 5
    ees4 d des c      | % 6
    b a8 g c4 f      | % 7
    ees2 d \bar "|"     | % 8
    c4 
}

  流石にその場では3声のフーガにするのがやっとで、後日6声のフーガを含む楽曲を大

  王に捧げています。それが「音楽の捧げもの」です。

 

  楽曲は大きく5つの曲から成っていて、全曲に王の主題が用いられています。

 

  1「3声部のリチェルカーレ」(リチェルカーレはフーガの古い呼び名)

     オルガン独奏による王の主題の3声部のフーガ。バッハが大王の前で演奏したも

     のとされる。

 

  2「5つのカノン」

    1.王の主題による無限カノン(ヴァイオリンとチェンバロ)

    2.逆行カノン(2つのヴァイオリン)

    3.同度のカノン(2つのヴァイオリンとチェロ)

    4.反行のカノン(フルートと2つのヴァイオリン)

    5.種々の調による螺旋カノン(2つのヴァイオリンとチェロ)

      螺旋カノンはちょうど螺旋階段を上りつめるように、一回演奏するたびに1音

      高くなり、6回目の終わりに1オクターブ高い現調に復帰して終わるカノン。

 

  3「フルート、ヴァイオリン、通奏低音のためのトリオ・ソナタ」

    緩急緩急の四楽章形式。

 

  4「5つのカノン」

    1.2声のカノン(チェンバロ)

    2.4声のカノン(2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ)

    3.フルート、ヴァイオリンおよび通奏低音のための無限カノン

    4.反行の拡大カノン(2つのヴァイオリンとヴィオラ)

    5.上方5度のカノン風フーガ(2つのヴァイオリンとチェロ)

 

  6「6声部のリチェルカーレ」

    フルートおよび弦合奏による全曲中、最も雄大な規模を持ちます。

    バッハが大王の前で果たすことが出来なかった課題をこの曲で果たした。

 

  細かく楽器編成を書いたのは、イメージしやすかと思ったからです。聴けば分かります

  が、バッハが大王の主題に応えようと力を示そうと力を尽くしたことが分かります。

 

🔸感想

 

  オルガンの独奏から弦楽合奏まで幅広いバッハの音楽が堪能できル、何とも贅沢な音楽

  です。

 

  カノンやフーガといった音楽はなぜか心に沁みます。

 

  個人的には「ブランデンブルグ」などよりもよっぽど好みです。