オルフの「カルミナ・ブラーナ」、昔のことですが一時流行ったことがありました。
サティのブームのようにあっという間に消えてしまいましたね。
私も今はあまり聴かなくなりました。
CDを整理していて、メータのものがあったので聴いてみたので感想を書いてみたいと思います。
「カルミナ・ブラーナ」は舞台形式によるカンタータで、”楽器群と魔術的な場面を伴って歌われる、独唱と合唱のための世俗的歌曲”という副題があります。
”世俗的”というのは、この曲の歌詞は中世の詩歌集からとられていて、内容は酒や男女の睦み合いというものだから。
オルフはプロコフィエフなんかより年下ですが、全音階だけを使って激しいリズムで畳みかけるような音楽を書いています。
🔸オルフ:カルミナ・ブラーナ
全世界の支配者なる運命の女神
第1部:初春に
芝生の上で
第2部:酒場で
第3部:愛の誘い
白い花とヘレナ
全世界の支配者なる運命の女神
という構成ですが、「全世界の支配者なる運命の女神」だけが特に有名です。
🔸試聴
メータとロンドン・フィルのCD。
オルフ:カルミナ・ブラーナ
スミ・ジョー(ソプラノ)
ヨッヘン・コヴァルスキ(カウンター・テナー)
ボイエ・スコウフース(バリトン)
ロンドン・フィルハーモニー合唱団
サウスエンド少年合唱団
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:ズービン・メータ
”スミ・ジョー”の名前をはあるショッキングな場面でよく覚えています。
あれはカラヤンの何かの映像で、彼女をカラヤンに紹介するため連れて来られた場面。
カラヤン:”次はどこで歌のうか?”
ジョー :アメリカで魔笛の夜の女王を歌います”
カラヤン:”今ここで私のために歌ってごらん”
ジョー :(ためらいながらも、歌うが上手く歌えず)”まだ午前中ですし”
カラヤン:(非難めいて)”そこで1万ドルもらう代わりにノドをそこに置いておくこ
とになる”
ジョー :(涙ぐむ)
カラヤン:”なぜ、泣く?いつか私のために魔笛を歌って欲しい”
画面越しにもスミ・ジョーが可哀想に思えましたが、カラヤンは若手を育てようとしない
マネージメント会社を非難しているのでしょうが。
🔸感想
今はもう夜なので音量を絞って聴いていますが、それでもメータがこの曲をどう捉えて
いるのかはよく分かります。
この曲の音楽的な側面を強調した演奏になっていて、今までの、例えばヨッフムや小澤
を聴いて受ける印象とは随分違って聴こえます。
だからと言ってスカスカな演奏とは全く違って、メータの持つ粘着性との相性が良い形
で出ている感じ。
「全世界の支配者なる運命の女神」、これを聴けば私の言っていることが分かっていた
だけると思います。
これはメータの録音の中でも秀逸の一枚です。