素晴らしい演奏を二つ。

 

一つ目はブロムシュテットのベートーヴェン「交響曲第7番」。

 

 

2022年10月1日のコンサートで、この日はシューベルトの3番の交響曲とベートーヴェン。

 

  シューベル   交響曲第3番

  ベートーヴェン 交響曲第7番

 

   指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット

 

ブロムシュテットは彼を知った時から”おじいさん”のイメージがあったけど、この演奏会ではもう殆ど歩けないくらい。もちろん座っての指揮だがその指揮ぶりはバレンボイムやメータと違って明快。

 

🎻(視聴開始)

 

 第一楽章からワーブナーがこの曲を”舞踏の聖歌”と評したようにリズムを強調した演奏。

 第二楽章の密やかな落ち着きは素晴らしい。

 第三楽章は元々リズミカルな楽章、トリオの部分もブロムシュテットはリズムを強調す

 る。

 しかしこの演奏の最大の特徴は第四楽章。ブロムシュテットは速いテンポで始め、リズミ

 カルが部分に入るとまるでスタッカートのように刻んで弾むような効果を出す。これでこ

 そ”舞踊の聖歌だ”とうように。そして要所でティンパニを落雷のように強打させる。

 

 この曲をこんな風に演奏したのを聴いたことが無い。生命力の発露、そんな言葉が似合い

 そうな名演でした。

 

次はメータの若い頃のコンサートから「春の祭典」。

 

メータは生配信でコンサートを観たばかりだが、このコンサートは1993年なのでまだ元気な頃のメータ。

 

 

   1993年4月20日

 

   モーツァルト    セレナード第10番

   ストラヴィンスキー バレエ「春の祭典」

 

   指揮はズービン・メータ

 

🎻(視聴開始)

 

  「春の祭典」は最近、ネルソンスという指揮者の演奏を聴いて、「”春の祭典”はもう自

  分からは遠くなってしまったんだな」と思ったばかり。

 

  メータ?凄いの一言。

 

  まずその指揮ぶりに見惚れてしまう。ある場面など一小節毎に拍子が変わる。こんな所

  があります。

 

    8分の2→16分の5→8分の2→16分の5→8分の2→8分の1

 

  こういうリズムをメータは指揮棒だけでなく身体中で示します。

  

  こういう指揮から生まれる音楽は全体にブーレーズのようにはなりません。マルケヴィ

  ッチを凌駕する圧倒的な迫力。

 

  この曲の根源はブーレーズのいう”精緻に計算されたリズム構成”ではなく、”生命の

  力”だと確信させる見事な演奏でした。

 

  メータを見直しました。