🎵レコードにはそれぞれ思い入れが付いて回ります。
🎵何故かCDにはそれが希薄です。
🎵今日もレコードラックから一枚取り出してきました。
ドイツ系の音楽ばかり聴いていると、時折ドビュッシーなんか聴きたくなってくる。
「海」とか「牧神の午後への前奏曲」なんかは飽きるほど聴いてきたので、そんな気分でもない。
そんな思いが心の底にあったのか、いつものようにレコード店でレコード漁りをしている時に目に入って買った。
ドビュッシーのピアノ曲など聴いたこともない、ペーター・フランクルというピアニストのことも知らない。なぜか、「第1集」と「第3集」の2枚を買っている。
「第1集」
版画(塔〜グラナダの夕暮れ〜雨の庭)
マズルカ
仮面
映像 第1巻(水の反映〜ラモー讃〜運動)
舞曲
スケッチ・ブックより
多分、”版画”とか”映像”という曲名だけは知っていたからか。
「第3集」
練習曲第1巻、第2巻
喜びの島
おそらくショパンの「練習曲」からの興味だと思う。
”喜びの島”が入っているのはラッキーだ。
この曲は「のだめカンタービレ」で聴いたことがあるが、いい曲だった。
一枚¥1、500。廉価のシリーズなので買った。
こういう経緯で買ったレコードは大概ちょっと聴いてそのままになることが多いが、この2枚もそんな感じで、何十年もレコードラックに収まったままだった。
私も御多分に漏れず、手頃なCDやネット音楽を主に聴くようになっていて、レコードならでは音の魅力を知っていながら、そもそもレコードを取り出す機会もグッと減っていた。
この”一枚のレコード”はレコードをもう一度聴きたいという思いから始めたが、今回のドビュッシーのように不遇に扱ってきたレコードへのお詫びでもある。
「第3集」から聴いてみる。
ライナーノーツにドビュッシーがデュランという人宛に書いた手紙の抜粋が載っていて、その中に、
”昨夜、真夜中、「エチュード」の最後の音符を清書し終えました・・・やれやれ! 日本の版画のもっとも細密を窮めたものでも、この何頁KANO記号表現の前では、子供の遊びです。満足ですとも、いい仕事ができました!”
と書いています。
それにしてもドビュッシーはほぼ毎日と言っていいほど、デュランに手紙を書いてます。
ドビュッシーの書いたピアノの練習曲。
ドビュッシー自身かなりの難曲だと書いていますが、ピアノ素人にはそこまで分かりませ
ん。
何となく、「壁に飾られた絵画のような音がだな」と感じた。
生活に溶け込んで邪魔にならない感じ。
「喜びの島」が始まる。
ペーター・フランクルの弾く「喜びの島」は”のだめ”のイメージとは全然違う。どこか「練習曲」の続きを聴いているかのよう。
ちょっと残念。
続けて「第1集」を聴く。
「版画」
これは私の持つドビュッシーのイメージ通りの曲。”印象派音楽”というレッテルとは関
係なく、単に”ドビュッシーの音楽”として抱くイメージです。
ドビュッシーはメサジュという人に宛てて(それにしてもドビュッシーは手紙好きだ)
”ピアノ曲を3曲書きました。題名が気に入っています。<塔><グラナダの夕暮れ><
雨の庭>というのです。自前で旅行するすべが無いときは、想像でうめあわせせざる
を得ません。”
どこか懐かしさを感じさせるメロディを持つ<雨の庭>が気に入った。色彩も豊か。
「マズルカ」
ショパン風とも言えそう。
「ジプシーの踊り」
ラヴェルが書きそうな音楽。
「仮面」
これがドビュッシー?と思えるような曲。
ロマン派風な音楽がホッとさせるのも確かだ。
「映像第1集 水の反映〜ラモー讃〜運動」
パッと聴いた限りだが、これが最も優れているという印象。
ドビュッシーも
”「映像」を弾いてみましたか?間違った自惚でなしに、私は、これら3曲がよくできて
いて、ピアノの文献のなかに彼らの場所を、・・・シューマンの左、ショパンの右、ど
ちらでもお好きな方で結構・・・に占めるだろうということを、信じてます。”
と書いています。
「舞曲」
題名通り、耳馴染みの良い曲だ。
「スケッチ・ブックより」
本当に断片のような曲。
今日はいいものを聴きました。
そう言えばベロフの弾いたドビュッシーの曲集のレコードもあったっけ。いつか聴いてみよう。