チャイコフスキーの交響曲って素直に

   「いいなあ」と思わせてくれます。

          

                    ベートーヴェンとかブルックナー、マー

                       ラーは違うんですか?

 そうなんですね。

    彼らには何か理屈みたいなものが付いて

    まわります。それはそれでその理屈を楽

    しむみたいな所があるんですがね。

        

                    じゃあ、チャイコフスキーの交響曲を一

                       言で表すと?

 音楽を聴けっ!

    て感じですかね。

                      

                    最高の褒め言葉じゃないですか。

 ただ、思うに、チャイコフスキーの交響曲

    を聴いて自分の中で何かが変わったような

    劇的なものは、正直無いです。

    

                    いきなり下げてます?

 

 これはあくまで個人的な意見なので、反対さ

    れる方も多いとは思いますが…

    「交響曲第4番」はベートーヴェンの「運命」

    のような構成ですし、「交響曲第6番」に至っ

    ては、自らの運命を嘆くような内容になっては

    いますが、もちろん「運命」ではないし、マー

    ラーの「第9番」のように、飾り気なしに慟哭

    する訳でもありません。

    ただ、聴いている間中、一瞬でも耳を離すこと

    が出来ないほどの内容の濃さは確かです。

 

 

                          分かったような分からないような。  

 

 ポールとジョンの違いと言ったら分かりやすい

    かも?

 

                    余計分かりにくくなりました。

 

 もちろんビートルズのことを言ってます。

    ポールの作る楽曲はバラードからハードロック

    まで幅広く、一般受けしそうな名曲揃いです。

    ジョンは作曲に関してはポールほどの多才さは

    ありませんが、そのメッセージ性の強さに多く

    の人が惹かれています。

    私はどちらかといえばポール派なんですが、

    チャイコフスキーやドヴォルザークを聴くと、

    なぜかポールを思い起こします。もしかしたら

    ブラームスも。

 

                   メッセージ性、ちょっと分かった気がしま

                      す。

 

 チャイコフスキーの交響曲といえば後期の3曲

    がよく知られています。

    「第6番」に後ろ髪を引かれながらも「第4番」

    が一番好きです。ここにはまだ青白ささというか

    若さを感じさせてくれます。

        

                   この曲を作曲した時、チャイコフスキーは

                      まだ40前でしたね。

 多分、「運命」のような曲を書きたかったんじゃ

    ないでしょうかね。”運命動機”から始まります。

 

   チャイコフスキーの「第4番」「第5番」「第6番」

   といえばやはりムラヴィンスキーです。レニングラ

   ード・フィルの精度の高さは、カラヤンのベルリン

   ・フィルと双璧ですが、響きの質が全く違います。

   指揮者の違いも大きく、カラヤンの豪華絢爛さもこ

   の曲によく合ってますが、ムラヴィンスキーはより

   そっけない感じで、それが返って凄みを増していま   

   す。

   「交響曲第4番」の冒頭部分です。2分。

 

 

                    勇ましいで始まって、すぐにチャイコフスキ

                     ーらしいメランコリックな主題が聴けます。

 チャイコフスキーの音楽って聴いてすぐ魅了

    されてしまいますよね。

    この曲もそうですが、ロシアの民謡を上手く

    取り入れてロシアの香りを醸し出してます。

 

                   もうちょっと聴きたいですね。

 

 まだ後2曲あるので、いきなりですがフィナーレ

    を聴いてもらいましょう。

    最後の4分ほどですが、始まってすぐに第1楽章

    冒頭のファンファーレが戻ってきて、最後はテン

    ポアップして追い上げるような終わり方はいつ聴

    いても手に汗握るといった感じです。

 

                    

 次は「第5番」なんですが、この曲に対しては

    あまりシンパシーが無いので、ベートーヴェン

    以降、スケルツォを置くことが多くなった第3

    楽章に珍しくワルツを書いていますので、それ

    を聴いてみましょう。2分。

 

                    どうしてですか?

 

 この曲についてチャイコフスキー自身も作為

    が見えすいてしまうと語っていたように、い

    い曲を書こうとして手を尽くした感じがする

    んですよ。

    だから、余り心に響いてこない。

 

 

                   魅力的な音楽に聴こえますけどね。

 

 最後の「第6番」は”悲愴交響曲”と呼ばれ、

    恐らくチャイコフスキーの交響曲では1番人気

    だと思います。

    第3楽章の行進曲が最強音で終わり、第4楽章

    の嘆きが静かに始まるやり方は、後のマーラー

    の名曲「交響曲第9番」に引き継がれています。    

 

 ムラヴィンスキーは楽曲を信じ、過剰に感傷的

    になるのを避けていて、それが演奏に格調を与

    えることになっていますが、ここはカラヤンが

    ベルリン・フィルを思いっきり鳴らせた演奏も

    素晴らしいです。

  

    カラヤンも感傷性とかには無関心で、ただただ

    楽譜の音化に徹した人なんですが、それを究極

    までに高めていった結果が感動を生むんですね。

    特に動画ではカラヤンマジックと言われた演奏

    会を擬似体験できます。

    

 

                   さすがカラヤンですね。彼の指揮を見てい

                      るだけで音楽に取り込まれてしました。