「ボレロ」は1926年、50歳のラヴェルの画期的な作品です。
・最初から最後まで(最後の2小節を除く)同じリズムが繰り返される
・最初から最後まで1つのクレッシェンドのみ
・メロディもA、B、2つのパターンのみ
今まで聴いてきた音楽を思い出してみて下さい。音楽ってあるテーマを変奏した
り、強弱に変化をつけたりして、その変化の具合を楽しむものなんです。この「ボ
レロ」はそこに真っ向から対立するものだったんです。
この曲はバレエ演者のイダ・ルヴィンシュタインの依頼により書かれたバレエ音楽
で、ラヴェルはそのために”単一主題をオーケストレイションを変更しながら何度も
繰り返す”という着想により作曲しました。
イダ・ルヴィンシュタインが持っていた1年間の独占権が切れると各地のオーケス
トラが演奏するようになっていきました。
それでは聴いてみましょう。最初に小太鼓が基本リズムパターンを弱く叩き始めま
すが、小太鼓奏者は曲の最後まで同じパターンを叩き続けますが、音楽が進むに連
れてこのリズムパターンを担当する楽器が増えていくところも注目です。
演奏はゲルギエフ指揮のロンドン交響楽団です。
このメロディ、聴いたことありますよ。同じ旋律を色々な楽器が演奏していく
んですね。面白かったです。
この曲には思い出の演奏があるので、そちらも聴いてみて下さい。
CDというのがで始めたのが確か1980年の始め、私も当時YAMAHAから出てい
た再生機を買っています。
その時一緒に買ったのがデュトワ指揮のモントリオール交響楽団のラヴェルを収め
たCDで、ボレロもその中の一曲でした。
デュトワは意外と壮絶な演奏をするんだと、NHK交響楽団との「惑星」なんか聴く
と驚きますが、このボレロはいかにも洗練された感じです。
音楽がデジタルデータで手に入るようになって、音楽を聴くのもすごく簡便になっ
てきた時代、多分にその反動なんでしょうが、レコードの音ってやっぱり独特のも
のがありますよね。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー