いよいよ、マーラーの交響曲を紹介していきたいと思います。

 

   マーラーの交響曲はどこかいびつな感じっておっしゃってましたね。

 

 聴いていてこれほど面白い音楽は無いと思いながらも、どこか”長いなあ”と感じさ

    せるところがあるんですね。

 

   もっと短く出来た、って意味でしょうか。

 

 うーん、どうもそんな気にさせられちゃうんですよ。聴いていれば感動もするし、

    興奮もするんですがね。

 

   今回の「交響曲第5番」はどうなんですか?

 

 今のマーラーブームの始まりになった曲なんですよ。

 

    1970年、ショルティ指揮のシカゴ交響楽団のこの曲のレコードが発売されるや

    否や評判を呼び、マーラーの交響曲が広く一般に認知されるようになったんです。

 

   それまでマーラーのレコードは無かったんですか?

 

 もちろんそんなことは無く、生前マーラーと親交のあったワルターやマーラーを得

    意とするバーンスタインなどによるレコードはあるにはあったんですが、一部のフ

    ァンが聴いていただけだったんです。

 

   ショルティのマーラーはそんなに凄かったんですか。

 

 当時、レコード産業はベートーヴェンに代わる交響曲作家を模索していて、白羽の

    矢を立てたのがブルックナーとマーラーだったんです。そんなタイミングでショル

    ティの元、第二期黄金期を迎えたシカゴ交響楽団による「交響曲第5番」のレコー

    ドが発売されました。

 

    レコード会社も宣伝に力を入れ、シカゴ交響楽団の、特に金管の素晴らしさもあっ

    て瞬く間にヒットし、併せてマーラーの交響曲が一般のクラシックファンに知られ

    ていきました。

    

    その頃、彼らは正にこの「交響曲第5番」を引っ提げて来日しています。実は私も

    彼らの来日公演を聴きに行ってるんですが、マーラーの日のチケットは早々と売り

    切れてしまい、ベートーヴェンを聴いてます。

    

   じゃあ、マーラーの「交響曲第5番」は金管が聴き物なんですね。

 

 もちろん金管のファンファーレは感動的なんですが、この曲のアダージェットの美

    しさは無類で、マーラーが書いた緩徐楽章随一の人気を誇ります。

 

    ただ、ショルティのレコードでは金管のファンファーレに衆目が集まってしまった

    せいもあって、アダージェットの美しさはちょっと霞んでしまってました。

 

    このアダージェットの美しさを世に知らしめたのはカラヤンが初のマーラーとして

    取り上げたこの第5番のレコードによるものでした。

 

   ショルティのマーラーはそれほど美しくは無かったんですか?

 

 確かにちょっとあっさりし過ぎていたと思います。とにかくカラヤンはこのアダー

    ジェットがあるために第5番を選んだんだと言われたほどの名演になっています。

    

    アダージェットを聴いてみましょう。カラヤンとベルリン・フィルです。

 

   うっとりしてしまいました。映画音楽みたいです。

 

 この楽章はマーラーが結婚したばかりの妻アルマへのラブレターとして書かれてい

    るんですよ。映画音楽という話が出ましたが、ヴィスコンティ監督の「ベニスに死

    す」という映画の、それこそ全編にこのアダージェットが使われました。

 

   こんなラブレターを貰ったらたまりませんね。

 

 それでは最後に「交響曲第5番」のもう一つの魅力、金管が活躍する最終楽章の終

    わり部分を聴いてみましょう。こちらはショルティとシカゴ交響楽団です。

 

 迫力があって凄かったです。

 

    今日も素晴らしい音楽を聴かせてもらいました、次回も楽しみにしています。

 

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 この記事が新たな出会いのきっかけとなれば幸いです。