「今回はチャイコフスキーの『弦楽セレナーデ』です。」

「前回の『ヴァイオリン協奏曲』の時は、何人ものヴァイオリニストを聴き比べて、正

  直大変でした。」

「協奏曲はヴァイオリニストの個性の違いが面白いと思ったので聴き比べしましたが、

  今回はやりません。」

「良かった。聴き比べは結構疲れますもんね。じゃあ、多分カラヤンですね。」

「バレましたか。そうなんです、カラヤンとベルリン・フィルの2回目の録音。」

  「チャイコフスキーは当時のヨーロッパ音楽が表面的過ぎると批判的で、モーツァルト

  の精神に立ち返ろうとこの曲を作曲しています。」

「セレナーデってどんな音楽なんですか?」

「モーツァルトの頃、屋外や野外で演奏される音楽でした。モーツァルトに『ハフナ

  ー・セレナーデ』という大規模なセレナーデがありますが、そこから抜粋して『ハフナ

  ー交響曲』となっています。」

「じゃあ、結構大掛かりな音楽なんですね。」

「そうですね。この曲もセレナーデとして固まるまでは交響曲や弦楽四重奏曲になる可

  能性があったようです。」

  「それでは聴いてみましょうか。」

 

🎵(試聴中)

 

「わー、いい曲ですねー。第一楽章の勢いのある出だしから、全部素敵でした。カラヤ

  ンとベルリン・フィル、流石に美しい演奏でした。」

「チャイコフスキーはパトロンのメック夫人に『強い内的衝動によって書かれたもの

  で、だからこそ真の芸術的な価値を失わないものです』と書き送っています。」

「どこかメランコリックな感じですよね。」

「美しいものはどこか悲しい、ってとですね。」

「この曲だったら初演も成功したでしょうね。」

「この曲の初演は大変好評で、満場一致で第二楽章のワルツがアンコールされたそうで

  す。」

「私だったら第四楽章かな?でも第四楽章だけ他の楽章と雰囲気が違いません?」

「第四楽章はロシア民謡を使って書かれているんですよ。沸き立つような感じはフィナ

  ーレにピッタリですよね。」

「最後に第一楽章の出だしが戻ってくるところなんかグッときてしまいました。」

「そうすることで、全曲の統一感も増してますね。」

「それでは次の音楽も楽しみにしてます。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 「この記事が新たな出会いのきっかけとなれば幸いです。」