「今日は、リベンジしたい映画を観てみます。」

「リベンジって?」

「前に観たことはあるんですが、どこがいいのかさっぱり分からなかったので、もう一

  度観て結論を出そうと思ったという意味です。」

「なんて映画ですか?」

「『地下鉄に乗って』という映画です。」

「堤真一さんが出てるんですね。」

「観てみましょう。」

 

🎥(視聴中)

 

「地下鉄がタイムスリップの入り口になってるんですね。」

「そうそう、最初観た時は単にそんな映画だと思ってました。二回目になると最初は気

  付かなかった所にも目が行くようになるんですね。」

「どんな所ですか?」

「例えば堤真一演ずる長谷部真次の恋人で岡本綾演ずる軽部みち子がかなり重要な役回

  りで、映画のクライマックスを作る人物だとはお恥ずかしい話、気がついていませんで

  した。」

「案外ぼんやり観てたんですね。岡本綾さんって綺麗な人でしたね。」

「そう言われてもしょうがない。こうやってじっくり観ても分からないことがいくつか

  残りましたよ。」

「どんな所ですか?」

「まずは最初の方、地下鉄のホームで長谷部の前にかつての多分、中学校時代の校長先

  生が現れること。」

「多分、その校長先生もタイムスリップしたことがあるんじゃないですかね。それで長

  谷部をタイムスリップさせた、とか?」

「ほいさん、凄いね。そう言われるとそうかも知れません。そうやって親の人生を辿ら

  せたんだな。」

「じゃあ、次は?」

「長谷部が過去に戻って交通事故死した長兄に会い、交通事故死を防ごうとしても結局

  防げませんでした。」

「よく言われるタイムマシンのパラドックスですね。過去は変えられない。」

「しかしですよ。最後、恋人のみち子が真次が母親が違う兄だったことを知って母親の

  お腹にいる自分を殺してしまうと、みち子も消えてしまいます。これ変じゃない?」

「そいうう理屈で見るからダメなんですよ。これはSFファンタジーだと思いますよ。」

「最大の謎は、真次の腕の中のみち子が消えてしまい、元の世界に戻ると会社にはみち

  子はおらず別の女性社員がいる訳ですが、その時『罪と罰』がチラッと映りますよ

  ね。」

「そうでしたね。」

「真次の何か罪だったんでしょうかねー。」

「そう言われればそうですね。なぜ真次があんな不幸を負うことになったんですか

  ね。」

「やっぱり、よく分からない映画でした。」

「まあ、たかが映画です。そんなに考えなくても。」

「そりゃそうですね。とりあえずほいさんの協力もあって自分なりの結論が出て良かっ

  たです。」

「それでは次の映画、楽しみにしてます。」