「クラシックはこれを聴け」、今回はシベリウスの「交響曲第5番」です。

 

「クラシックはこれを聴け」では、今までに100曲ちょっとの曲を紹介してきましたが、まだまだ紹介したい候補曲は山のようにあります。一里塚として300曲の紹介を目指していきます。

 

改めて、シベリウスの「交響曲第5番」の紹介です。この前の「交響曲第4番」は息詰まるような緊張感のある緻密な音楽になっていて”シベリウスの最高傑作”と言われますが、この「第5番」は対照的に開放的な雰囲気を持った曲になっています。これは「交響曲第4番」作曲当時、シベリウスは癌による死の恐怖に直面していましたが、「第5番」の作曲前に癌の摘出手術が成功した晴れやかな気分が反映しているとのことです。

 

「一音たりとも無駄な音が無い」と言われるのが「第4番」ですが、「第5番」もそれに匹敵する名曲だと思います。「第4番」では味わえない気分の高揚があります。

 

それでは、各楽章毎に説明と、その一部を聴いていきます。演奏はカラヤンとベルリン・フィルです。

 

・第1楽章 

 第1楽章は、ソナタ形式の「テンポ・モルト・モデラート(非常に穏やかなテンポで)」とスケルツォ風の「アレグロ・モデラート(ほどよ

 く速く)」が融合したものになっています。シベリウスは「交響曲第3番」でスケルツォとフィナーレを融合していますが、この2曲は最終

 的に全楽章を有機的に統合する「交響曲第7番」の先駆けとなる曲になっています。

 

シベリウスの「交響曲第4番」と回でも書いたことですが、私は初日の出を見に近くの海岸に出かけるのがここ数年の恒例になっているのですが、日の出を待つ間イヤホンで音楽を聴くのも恒例になっています。ある年、シベリウスの「交響曲第4番」を聴きながら待っていると、丁度曲が終わって、次の「第5番」の開始が日の出と重なったことがあって、「ああ、第4番はまだ夜が明けない世界で、第5番で日が昇るんだ」と感じた時がありました。そんな感じの冒頭です。

 

次の部分もお気に入りの所です。

 

最後の追い込みも素晴らしい。カラヤンとベルリン・フィルの厚みのある強奏をしながらも一才の混濁のない素晴らしい響きが曲の魅力を一層引き立てています。

 

・第2楽章

 打って変わって落ち着いた感じの緩徐楽章になっています。

 

・第3楽章

 この曲は三つの楽章で出来ていますので、この楽章が最終楽章になります。疾走するような出だし。

 

やがてホルンに現れるモチーフが印象的です。

 

そして曲は華々しく終わります。

 

ベートーヴェンの「第五番」以降、交響曲の作曲家たちは「第5」という数字を意識するようになっていきますが、このシベリウスの「第5番」はベートーヴェンのように初めから終わりまで一気に聴かせるという意味でも、最後に勝利を歌い上げるといった印象を持つという意味でも、ベートーヴェンの「第5番」を引き継ぐような名曲だと思います。

 

それではカラヤンで全曲をどうぞ。引用させて頂いた動画の曲調に合わせた控えめなアニメーションも素晴らしいです。

 

最後までお付き合い、ありがとうございました。