「クラシックはこれを聴け」、今回はワーグナーの楽劇「パルジファル」から「第1幕への前奏曲」です。

 

ある日ネット任せで音楽を聴き流していたら突然空気感が変わったと感じました。その時流れていたのがこの曲でした。

 

ワーグナーはいつ聴いてもそのエネルギーに圧倒されてしまいます。ただ、そのオペラや楽劇を聴こうと思うとかなり体力を消耗してしまいそうで序曲や前奏曲を聴くだけで十分満足しています。

 

オペラというジャンルは長く音楽を聴いてきましたが、まだまだ未開の領域で、その中でもワーグナーは最後の砦のような気がしています。その昔、衛星放送で毎年放映されるワーグナーの「リング」を録画し続けてみたものの、せいぜい序夜の「ラインの黄金」の途中まで観るのが関の山でした。いつか踏破してみたい大きな山脈です。

 

さて、「パルシファル」はワーグナー最後の楽劇で、特に”舞台神聖祝典劇”と名付けられました。台本はワーグナー自身で、演奏時間は4時間半に及びます。聖杯伝説やキリスト教に基づく救済の物語です。

 

今回は、物語のことは忘れ、「第1幕への前奏曲」の深さや大きさを楽しみましょう。

 

冒頭で弦と木管のユニゾンで”聖餐の動機”が始まるともうワーグナーの魔術に引き込まれてしまいます。演奏はネットで突然流れてきたショルティとウィーン・フィルによるものです。

parsifal-1a

 

その後ステンドグラスが煌めくような響きがしますが、ここは弦のアルペジオと一緒に木管が三連符と二連符が交替しながら進む不規則なリズムによる効果です。

parsifal-1b

 

あと、次のような印象的な音型は”信仰の動機”です。

parsifal-3a

 

これらの動機や他の音型を発展させたり、組み合わせたりして音楽が高まっていく様こそワーグナーを聴く醍醐味でしょう。

 

それでは、全曲を通してお聴きください。全曲で12分ちょっとの長さです。

 

最後までお付き合い、ありがとうございました。