『かなり長い間クラシックをメインに音楽をきいてきて、ちょっと振り返ってみたくなりました。レコード棚を眺めて思い出のレコードやCDのことを書いていきます』

 

第一回はイーゴリ・マルケヴィッチがフィルハーモニア管弦楽団を振った、ストラヴィンスキーの「春の祭典」のレコードを取り上げます。東芝音楽工業から”出ていたセラフィム名曲シリーズ”の中の1枚です。

・レコード番号:AA-5039

 

「春の祭典」を初めて聴いたのがこのレコードでした。衝撃的でした。当時ハード・ロックやプログレッシブ・ロックなども聴いていたので、大抵の音響であれば耐性は出来ていたはずですが、このレコードで聴いた凄まじいまでに荒々しい音響は全く未経験の世界でした。

 

ブーレーズがこの曲の緻密な作曲構造を解き明かし、自らも指揮をしたレコードを発表するまでこの曲はフォービズム(野獣派)の音楽と見なされていました。このレコードの解説にも”・・・打楽器群による効果とダイナミックなリズムは残酷味を生々しく表して・・・”の表現があります。

 

指揮者のマルケヴィッチさんは、”ミスター春祭”といわれて色々なオーケストラに呼ばれてこの曲を演奏しているオーソリティ的な指揮者でした。

 

改めてレコードを聞いてみました。まず驚いたのは1959年の録音の音の良さ。もちろん現在のデジタル録音のように各楽器の音が鮮明に録られているという風にはいきませんが、全然古さを感じさせない音が聴けます。調べてみるとビートルズで有名なアビー・ロードスタジオでの録音でした。

演奏は、速めのテンポ、とにかく打楽器のバランスを無視したような鳴らし方、個々の楽器の響きよりもマッシブな響きが特徴です。もちろんこれは録音処理の影響もあるかと思いますが、最終的にマルケヴィッチが承認している訳です。

 

これを聴いて手に汗握っていた時代が懐かしく思い出されました。

 

この録音を聴ける動画がありましたので参考までに載せておきます。

 

また、別のレコードでお会いしましょう。