「赤き炭 白く湯気立つ 布団釜 暗香抱き 松風を聴く」
お友達のお茶室に呼ばれ、炉でお点前をいただきました。
萩焼の花入れには椿が生けられ、菓子器には「魁」の文字。
お軸は「春来草自生(はるきたらばくさおのずからしょうず)」
春が来れば自然に草木が芽吹くという、禅の言葉がありました。
茶器には乾山うつしの梅が描かれており、茶杓は梅の木が使われていました。
郷里の九谷焼の香合や、ご縁となった太鼓にまつわる鼓の蓋置など、何週間も前からお心をこめて準備くださっていました。
火を起こすのも時間がかかり、お点前が始まる時間にあわせて、お湯がちょうどよい温度になるように調整するそうです。すべての設えとお道具には客人をもてなすための仕合わせが込められています。
茶道の「松風」とは、茶釜の湯が沸き立つ音を指します。松林を風が吹き抜ける音に見立てた風情ある表現です。布団釜からたちのぼる白く湯気を見ながら松風を聴く。静かな茶室で耳を澄ますことで、亭主と客の心が通い合う仕合わせも感じました。
冒頭の歌は、教えていただいたことを並べただけの歌とは呼べないものですが、あの貴重な時間を忘れないようにとの気持ちからです。
視覚、聴覚、味覚、体全体で感じるお茶席。ざわざわする出来事が多い日々の中、春を味わいながらの静寂を得て気持ちがすーっと落ち着きました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
<ライター:うのゆ
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