今から7年前の10月23日、岡山県の動物愛護センターから我が家に、初めて一頭のオスの雑種犬が家族としてやってきました。

 

ずっと猫派で、猫の保護ボランティアのはしっこで細々と個人で活動していた私は、犬を飼うことなど考えたこともありませんでした。

彼と出会ったのは、とあるSNS上で「里親募集。岡山県愛護センター収容犬。期限〇月〇日」という個人ボランティアの方の投稿でした。

 

期限まで1週間。

 

「銕(てつ)」と名付けたその犬は、そのほかの収容犬と比べて特に変わった特徴が無かったにも関わらず、なぜか私は「この子を救わなければ」と直感的に感じ、すぐにSNSのメッセージ機能を使って投稿者の方に連絡を取ったのでした。

 

私が連絡をしたその投稿者の方こそが、今回のクラウドファンディングに挑戦しているし『しあわせの種たち』の副代表の轟木絵理さんでした。

この時はまだ「しあわせの種たち」が団体としては設立されておらず、彼女は同じく個人で活動されていた同団体の代表で、今回のプロジェクトオーナーである濱田一江さんとほか数名のメンバーで、毎週のように殺処分され続けている収容犬たちを救うべく日々奮闘していたのでした(現在殺処分機は止まっていますが、奮闘し続けているのは今も変わりません)。

当時の岡山県動物愛護センター(以下センター)は、収容された犬たちを譲渡することには後ろ向き、処分期限は厳守、その日がくれば問答無用で犬たちは殺されていきました。

 

濱田さんと轟木さんのお二人は、“ルール”を盾に「てつ」を収容期限日に処分する方針を曲げないセンター長相手に我慢強く交渉を続けてくれましたが、翻意させることはできませんでした。

また、我が家はマンション住まいで犬の飼育は管理規約で認められておらず「てつ」を迎えられる状況ではありませんでしたが、とにかく殺処分が目の間に迫っている「てつ」をセンターからレスキューしなければ。そのあとのことは走りながら考えます、とお二人に決意を伝えました。

 

「とにかくセンターから助け出しましょう!」と濱田さんがご自宅で預かって下さり、必要な条件を整えることにしました。

 

そして時間はかかりましたが、無事に我が自宅マンションの管理規約の変更が叶い、濱田さんやメンバーさんたちの手を経て無事「てつ」を家族に迎えることができたのです。

当時のセンターとの緊張関係や逆風の中、センター職員さんたちと毎日のように喧嘩しながらも、一頭でも救い出さなければと精神的にもギリギリの活動をしていた当時のボランティアの活動が新聞で取り上げられたことや、職員さんの異動などがあり、殺処分ゼロに向けた新しいセンターの体制が整い始めたのはやっと2016年になった頃でした。

一方その間、うちの子になった「てつ」は、その悲しい生い立ちから極端に憶病な性格で、自分の殻に閉じこもり数年経っても心を開くことはありませんでした。

「てつ」は猟犬として飼われていたものの「不要になったから処分して」と、前の飼い主から母親犬(ほかの方に引き取られました)とともにセンターに持ち込まれました。

 

当時推定4歳。ずっと外飼いだったためフィラリア強陽性。

その後遺症のための心臓疾患。

 

レントゲン検査の結果、身体の中に散弾銃の弾が数十発入っていたことが判明(弾は今も残っています)。

さらに“東洋眼虫”という今や動物医学の教科書でしか知らない獣医がほとんど、という目の疾患までありました。

我が家は東京都心住まいのため、かかりつけの動物病院を受診する犬は、大半がペットショップで購入された小型犬やブランド犬。

担当獣医師はそんな「てつ」の健康診断結果を見て驚く始末でした。

 

ただ憶病だからなのか生来のものなのか、とても温厚な性格で、先住の2頭の保護猫たちともつかず離れずの距離感を保ち、我が家での生活が4年目に入った頃から少しずつ心を開き、遅い自我が芽生え、今では幼犬に生まれ変わったかのように甘えん坊の男の子になったのです。

 

持病はあるものの、12歳になった今でもまずまず元気に過ごしています。

そんな愛すべき「てつ」との縁を繋いでくれた濱田代表と轟木副代表が率いる『しあわせの種たち』に恩返しをさせていただきたく、本プロジェクト成功のため、支援をお考えの皆様に今回この応援メッセージをお届けした次第です。

今では全国各地に『しあわせの種たち』のメンバーがおり、私も東京メンバーのひとりとして、首都圏の里親希望の方のご自宅訪問や譲渡後のサポートなどを担当しています。

今回のプロジェクトが成立すれば、メンバーが夢に見た保護ハウスが開設されるのです。

現在の愛護センターの危機的状況を打開するために、どうかご支援・ご協力をお願いいたします。

 

一度は見捨てられた動物たちに明日を生きる道が開けるように。

小川 歩

 

小川歩様、メッセージありがとうございます。

 

小川さんと私の出会いはボランティアを始めたばかりの頃で、当時は何の経験もなく、毎日四苦八苦という日々でした。

 

そんなある日、夜遅く知らない電話番号から着信があり、「この仔を助けて!本気で助けるつもりでないならやらないで!」といきなり怒られました。少し腹は立ちましたが、その当時私には命を繋ぐ力が無く、言われても当たり前でした。そしてしばらくその方の話を落ち着いて聞きました。翌日も再び電話があり、昨日の事を詫び、そしてどうしたらこの仔達を助けられるか、という話し合いをしました。

 

そんな突拍子もない出会いから8年、小川さんは私の保護活動の良き理解者であり、支援者です。

そしてその時のワンちゃんが小川さん宅で幸せに暮らしている「銕(てつ)」くんです。

 

小川さんのメッセージを読むと、当時の様子が蘇ってきます。

もがいてもどうにもならない現実、失われていく命、潰れそうな気持、小川さんはそんな私を励まし、一緒に考え、支援もしてくださいました。

小川さんの行動力とパワー、そして優しい気持ちに心から感謝しています。

 

あれからどうやってここまでの道のりを歩み、愛護センターも私達も変わってきたのか、、、

一歩間違えていれば、今の様に信頼し、協働できる日は来なかったのではないか、と時々考えて恐ろしくなります。

 

いつも思います。

私達は沢山の方に支えられ、こうして活動することができます。

ワンちゃんや猫ちゃんを助けたい、そんな思いを持つ多くの方の気持ちが集まって今があるんだな、と感じ、改めて感謝の気持ちでいっぱいです。

 

認定NPO法人しあわせの種たち 轟木絵理

 

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私たちのクラウドファンディングも残り39日となりました。

現在、248人の皆様が応援して下さり、皆様の温かい応援コメントやご支援をして下さる事が本当に嬉しく、感謝で胸がいっぱいです。

本当に有難うございます!

 

ネクストゴールの1,900万円は保護ハウス物件購入費のための高額な目標となっていますが、私たちの活動を応援して下さるみなさまの拡散が大きな力となります。

 

今も、センターで私たちの迎えを待っている沢山の命たちがいます。

すべての命を救うため、どうか、保護ハウス購入のためのネクストゴール達成に向けて、引き続き応援ご協力をよろしくお願いいたします!