◆大腸ガンは大腸ポリープ(イボ)からできる!
それでは、発ガン物質が引き金となって、ある時急に粘膜がガン化するのでしょうか?
答えは、「No」です。
大腸の場合、ふつうはじめに大腸ポリープという、大腸のいぼができます。
これは細胞が異常に増殖した良性腫瘍で、通常はイボ状に隆起しています。
それがだんだん大きくなり、段階的にガンになっていくのです。
少し専門的になりますが、大腸ポリープが大腸ガンになるメカニズムを簡単にご説明しておきましょう。
内視鏡で切り取ったポリープはガンになっていないか、顕微鏡の検査に出します。
病理組織検査といいます。
そこでは細胞は5つのグループに分類されます。
グループ1は正常、グループ5がガンで、その間のグループ2から4が、いわゆる良性ポリープです。
ポリープは大きさが大きくなるほど、グループ分類も進んでいく傾向にあります。
つまり大きいポリープは、同じ細胞がただ増えただけではなく、細胞1つを取ってみてもガンに近づいているということです。
このようにして、数ステップの段階を経てガンが完成してゆくのです。
同じことが、病理学的だけでなく、遺伝子学的にもいわれています。
もともと遺伝子の中にガンになる遺伝子に近い遺伝子があり、それを原癌遺伝子といいます。
遺伝子は4つの文字の暗号の羅列ですが、原癌遺伝子と癌遺伝子はたった一つの文字が違うだけです。
大腸ガンが完成するためには、一つの細胞の中で数個の原癌遺伝子が癌遺伝子にならないといけません。
トランプにたとえると4カードそろって初めてガンができるのです。
途中の2カードや3カードではまだガンの形質を持ち得ないが、全く正常ともいえないのです。
これがポリープの段階です。
いずれにしても、昨日まで全く正常だったものが、ある日突然ガンになるというものではなく、数ステップを経て段階的にガンになっていくということです
ただし、隆起していない平坦型のポリープもあり、大腸では、むしろ隆起していない平坦型ポリープのほうがガンになる確率が高いと言われています。
また、写真を見ていただければわかるように、平坦型ポリープは、普通に隆起しているタイプと比べると、より見つけにくいのです。
この平坦型ポリープを見逃すと、すなわちそれが大腸ガンの見逃しにつながるということでもあるので、大腸ガンの専門医の間では、最近〝平坦型ポリープを一つでも多く見つけよう〟というのが合言葉になっています。
●普通のポリープと平坦型ポリープ
ガン細胞は自己の増殖に都合のよい形質を備えてゆき、その成長速度を増していきます。
ガンが成長し、大きくなりすぎると、ガンの中央部に血液を十分供給できなくなります。
するとその部分が潰瘍化して削れていくため、ガンの中央部分が掘られたような形になります。
中央がえぐれた火山のようなかたち、これが進行ガンの典型的なかたちです。
- 汚れた腸が病気をつくる―腸をクリーンにする究極的方法/バーナード ジェンセン
- ¥1,296
- Amazon.co.jp