ある河の川上で、

石ころくんは生まれた。


生まれた当初は、

表面はツルツルとしていて、

形はまん丸だった。


石ころくんは、

川の流れに任せたり、

コロコロと転がったりして遊んだ。


時には、

流れに逆らったり、

他の石くんとぶつかったりして、

悪ふざけをしたり、

身勝手な事をすることもあったけれど、

自由気ままに遊び楽しかった。

友達もたくさんできた。


時が経ち、

自分の身体をふと見ると、

表面はデコボコでゴツゴツ、

ある部分は尖っていたり、

ある部分はヘコんだりしていた。


でも、

石ころくんは、

それをカッコいいと思っていた。


その頃から、

楽しくないと感じるようになっていた。

遊んでいても、

つまらなかった。


おまけに、

他の石くんとぶつかったりして、

ケンカにはなるし、

何だか生きているのが、

辛くてしんどいと感じるようになっていた。


それでも、

石ころくんは、こう思っていた。



僕は、間違っていないんだ。

正しいんだ。



でも、

他の石くんとも仲良くやっていけなくなるし、

何をやっても上手くいかなくなっていった。

そして、

とうとう一人ぽっちになってしまった。


石ころくんは、思った。



寂しい。

悲しい。

苦しい。

辛い。

もう生きていくのなんか嫌だ



ついにとうとう、

石ころくんは、何もかもやる気が無くなり、

無気力になってしまった。


石ころくんは、苦しくて辛いだけだった。

自分自身のことを責めた。



僕なんか、

生まれて来なければ良かったんだ。



そして、

自分自身を壊してしまいたかった。

そうしたら、楽になるだろうと思った。

でも、できなかった。

怖かった。


ますます、苦しく辛くなってくるし、

もう気が狂いそうで、

おかしくなりそうだったけれど、

がんばって生きた。


いや、

かろうじて死なずに、

生きていただけだった。


苦しく辛い日々が続いた。

いつ終わるのかさえ、分からなかった。

長い長い地獄のような日々が続いた。




次回に続く