*あらすじ*

 

20年前に亡くなった

大正生まれの祖母が

ある日ひょっこりやってきた。

 

自分の孫たちが

何やら大変な時代に生きることになり

気がかりでやってきたそうで。

 

ついでに最近のお金の勉強を

孫の私と一緒にしていくことになった。

     *

     *

「ゆうこ、ゴールデンウィークは充実しとったのう」
 
「おばあちゃん、そうなのよ。
久しぶりに親族集まってワイワイ盛り上がったり
観たかった映画(名探偵コナン)も観に行けたからね」
 
「ワシも一緒におったけど
家族仲が良くて何よりじゃ」
 
「他の人達が聞いたら、驚くよねw」
 
「そうじゃなw
ところでゆうこ、ネット証券の申込書が
郵送で届いとるのう。続きといくか」
「ゆうこは、本人確認書類を
スマホのカメラで撮影するのが上手くいかなくて
郵送を選んだんじゃったな?」
 

 

「そうなの。どうも上手く行かなくてね。

無理して頑張ると、目と肩がバキバキに凝っちゃうから

無理せず郵送を選びました。

ここがスムーズにできれば、

オンラインで全て完結できたけど

 

「中年以降は無理すんな。

郵便ってのは、今でも存続する通信制度じゃ。

デジタルに勝てるのはアナログかもしれんぞ」

 

 

「おばあちゃん、そうかもしれないね。

郵便はサイバーテロには最強だよね」

 

 

「さて、届いた書類のうち

返送するのは、送られてきた

・証券総合サービス申込書兼NISA口座申込書

・お客様の登録情報等のご確認(個人のお客様)

という書類と

・本人確認書類

じゃな」

 

「おばあちゃん、さすが。

・証券総合サービス申込書兼NISA口座申込書

は、赤い枠の”申込日”と

”名前の漢字表記”を書くんだね。

名前の表記は、本人確認書類の通りに楷書で、とあるね」

 

「今どき、草書や行書で書く人もいないじゃろうがなw」

 

「郵送の人は、想定内の年代なのかもw」

 

「さて次は、

・お客様の登録情報等のご確認(個人のお客様)じゃな。

しかしお前、写真下手くそじゃなw」

 

「ごめ〜ん、おばあちゃん。

味わいがあるということにしといて笑い泣き

 

「ほんと、しょうもねえw

国籍を聞かれるのはわかるが、

勤務先とか、

職業(会社員とか公務員とか)とか、

業種(不動産業、飲食業)とか聞かれるんじゃのう」

 

「インサイダー取引を未然に防ぎたいのかもね。

20年前、私が最初に

ネット証券口座を申し込んだときは

世帯主だったか配偶者だったかの

職業まで書かされたよ。

もっとも、その当時

私が専業主婦だったからかもしれないけど」

 

「ほう」

 

「さて最後に、本人確認書類だね。

20年前は、まだマイナンバーもなかったから

運転免許証とかなら1種類で良かったと思うんだけど

今は最低限2種類、

マイナンバーカードのコピーと

運転免許証のコピーなんかが

必要になるみたいだね

「あんまりあれこれ自分の情報を開示するのは

一抹の不安を感じるのう」

 

「そうだよね、おばあちゃん。

それって、至ってまともな感覚だと思う。

もし、ちょっとでも不安に思うなら

”この先は何もしない”というのも

選択肢に入れて良いね」

 

「左様」

 

「でも”虎穴に入らずんば虎子を得ず”

”No gain,no pain.”

という古い言葉もあるように、

大きなリターンを得るには、

それなりのリスクを負う、

というのも事実だよね。

そのへんは、その人それぞれの価値観で

選択してもらうことになるね」

 

「で、ゆうこは20年前に

虎穴に入る方を選んだんじゃな?」

 

「そうなのよ。

当時は専業主婦だったから

大きな金額を出せるわけじゃないし

クラシックバレエというお金のかかる趣味にハマって

その費用をなんとか工面したくて、

その手始めとして口座を開設したの」

 

「で、20年続けてみてどうじゃ?」

 

「私個人としては、

ネット証券で資産運用してみて良かったと思う。

投資したのは大した金額じゃないけれど、

その利益のおかげでNYダンス留学できたし、

バレエのレッスン代や発表会の費用を

夫に頼らないで出すことができたから」

 

「主婦がお金のことで旦那に頼らなくていいのは

えらい気楽になれるもんじゃからな」

 

「そうなのよね。

自分のお金でなんとかやりくりできる、

お金のかかる趣味を持つと、

自分の収入があるのは、すごく心強いよね」

 

「また、外に勤めに行くと、

お勤めの時間を切り売りすることじゃから

その間は身動きが取れんしな。

暇なときなんか、帰宅して家事でもしたいよな」

 

「おばあちゃん、その通り!

資産運用は、自分が時間を提供しなくても

お金が仕事をしてくれるからね。

そんなに体力のない私は、その恩恵はありがたかった。

バイトをいくつも掛け持ち、なんて無理だったから

自分の持っていたお金ちゃんに

一緒に働いてもらったのよ」

 

「持たざるものは、

汗を出すか、

知恵を出さにゃならんのう」

 

〜次回に続く〜