私は、≪自分は、それなりに悪運が強い≫と思っていました。

 

 

 

 

 

 

人生で三度、危機に直面したことがあります。

 

 

 

 

一回目は、小学生の時


自転車で走行中

曲がり角を飛び出したら車に轢かれ

自転車は大破しましたが!

私は無傷でした。

 

 


二回目は、社会人一年目の時


軽自動車で高速道路を走行中 

前方不注意で突っ込みました。

自動車は大破しましたが!

私は無傷でした。

80㌔くらい出してましたが
前方の車が動いている時にぶつかったのが良かったみたいで

車が渋滞などで止まっていたら

私は≪亡くなっていたかもしれない≫と、警察の方に言われました。

 

 

 

三回目は、結婚式の時

 

結婚式の二週間前に式場が倒産しました。
結局、他の式場で結婚式を無事に行えましたが

あの時は、いろいろと大変でした。

 

 

 

 

私の人生の中では

重大な事件だったので≪結局なんとかなる≫と思っていました。

 

 

 

 

 

 

 

でも・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何とかならない時ってあるんですね。

 

 

 


娘の心臓が止まっても

≪産んだら息をしてくれるかも≫と、淡い期待をしていました。

 

 

 


ですが・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな奇跡は、起きなかったです。

 

 

 


本当に身に沁みました。

 

 


胎動をチェックしていれば

 


早く病院に行ってれば

 


予定日近くになったら計画出産の話を提案すればよかった

 

 

 

いろんなことを後悔しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2020年2月23日 妊娠40週6日目

 

~朝7時半頃~

 

車椅子で分娩室に移動しました。

 


分娩台らしきものに寝かされました。

 

分娩台って足を広げるものだと思っていましたが
その分娩台らしきベットは平行のままで

足を置く台を上げず、自分自身で足を開いた感じの状態にされました。

 

 

 

助産師さんは一人

 

 

 

陣痛が強まって結構痛かったんですが

 

 

 

え?

 

 

助産師さん一人なの?

 

 

そうゆうものなの?

 

 

娘の心臓が動いてないからこうゆう扱いなの・・・
悲しくなりました。

 

 

 

 

痛くて

 

 

痛くて・・・

 

 

分娩台で悶え苦しみました。

 


痛い

 

辛い

 

いっそ、帝王切開にしてくれ・・・

 

 

 


母と夫が分娩室に入って来て私を励ましてくれました。

 

手を握ってくれていますが

痛すぎて、その手がもはや邪魔で振り払いました。

 

 


痛いと思いながらも痛みが引くときに少し冷静になった自分もいます。

 

出産時はコンタクトや眼鏡をはずしているので全く見えなかったです。


私は物凄く目が悪いので

みんながどうゆう表情をしているか分からなかったのですが
母も夫も泣いている声が聞こえてきました。

 

 

 


いきむタイミングが全然分からず

痛みが押し寄せてきているタイミングでいいのかな?と、思いながら
とりあえず踏ん張ってみました。

 

 

助産師さんは、ずっと『上手だよ。大丈夫』と声を掛けてくれました。

 


痛すぎて、暴れて助産師さん蹴ってしまいました。

その時に我に返りました。

 

私『すいません・・・蹴りました!』


助産師さん『大丈夫。蹴ってないよ。避けたから!』

 

 

 

 

 

私がイメージしている出産って

助産師さんが『しっかりしなさい。お母さんでしょ』と
𠮟咤激励をしているイメージでした。

 

分娩台の足を置く台が上がってない状態で


いきんでいいのか。

 

どうしたらいいのか。


この痛いのは、いつ消えるの?

いろんなことを悶々と考えていました。

 

 

 


ずっと『上手だよ。大丈夫』と言ってくれる助産師さんに


なんでずっと上手だよ。大丈夫。しか言わないの?

 

 

もう赤ちゃんが亡くなっているから

焦る必要は、ないって思ってるの?

 

 


だから優しくしてるの?

 


そんな慰めなんていらないよ!

 


陣痛に耐えながら、そんなことを思っていました。

 

 

 

 

あとで思い返してみたら
バースプランに≪初産なので優しくしてください≫て、書いたからか。
冷静になった今は、そう思っています。

 

 

 

 

 

 


本当にいろんな思いが頭を巡りました。

 

 

 

そんな時に急にごわごわした手で顔を撫でられました。

 

 

父も分娩室に入ってきました。

 


父の顔は見えませんが声が震えていたので

泣いているのが分かりました。

 

 


三人から『頑張れ!』と応援されました。

 

 

 

 

痛い

 

 

 

痛い・・・

 

 

 

 


なんで・・・

 

 

 

どうして・・・

 

 

 


頑張る意味あるのかな・・・

 

 

 

 


ふ、と

私は『許して。もう許してください』と、言葉がでました。

 

 

こんな痛い思いをしても娘は、元気に産まれてこないんです。

 

 

 

 

 


私は今、何の為に必死になっているのか。

 

 

 

 

 

 


こんな苦しい思いをして、産まなきゃいけないの・・・

 


そんな気持ちから声が出たんだと思います。

 

 

 

 


本当にいろんな気持ちがグルグルと巡ってきました。

 

 

 

 

なんで普通分娩なの?

 

 

 

 

早く取り出してくれたら、もしかしたら助かるかもしれないじゃん!

 

 

 


なんで帝王切開にしないのよ!

 

 

 

早く娘を出してあげてよ!

 

 


痛くて、痛すぎて頭を掻きむしりました。

 

 

 

いろんな声が出ました。

 

 

こんな声出るんだ。

 

≪自分じゃないみたい≫と、思うくらいの声が出ました。

 

 

 

産む前は≪絶対叫ばない!≫と、思っていたのですが
無理ですね!

 

 

痛すぎて普通では、いられません。

 

 

 

 


出産のイメージトレーニングしたのにな・・・

 

 


呼吸法練習したのにな・・・

 

 

 

呼吸をしっかりしないとダメなんだろうけど・・・

 

 

 

 

 

 


もういいよ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私なんて、どうなってもいいよ・・・

 

 

 

本当に自暴自棄になりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どれくらい痛みに耐えたのか・・・

 

 

 

 

 

 

 


私には、本当に本当に長く感じました。

 

 

 

 

 

 

 

急に足を置く台が上がり

 

私のイメージ通りの≪分娩スタイル≫に、なりました。

 

 

 


ここから、さらに痛さが増しました!

 

 

 

 

ゴぉリぃ  ゴぉリぃと、下に頭が落ちている感じでした。

 

助産師さん『頭が見えてきたよ。ほら髪の毛!触ってみて』

 

私『ほんとだ・・・どれくらい見えてますか?』

 

助産師さん『まだ、5センチくらいかな』

 

 

 

 

ご・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ご・・・・・・ご、5せんち・・・

 

 

 

 

私『まだですか?あと、どれくらいですか?』

 

助産師さん『まだまだかなぁ。頑張って。上手だよ。進んでるよ。』

 

 

 

 

まじか・・・

 

 

 

 

ながい。長すぎる・・・

 

 

 

 

まだなの・・・

 

 

 

あとどれくらいなの・・・

 

 

 

 

これが続くの・・・・?

 

 

 

 

 

もう無理・・・

 

 

 

 

 

 

むり・・・・

 

 

 

 

 

 

夫・両親『頑張れ!頑張れ!』

 

 

 

 

 

痛い痛い痛い

 

 

 

 

痛い痛い痛い痛い痛い

 

 

 

 

 

 

 

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い

 

 

 

 

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛

 

 

 

 

 

 

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い

 

 

 

 

 

 


う”ぅぅんと、いきみました。

 

 

いきみ終わると痛さが物凄く増しました。

 

 

どんどん と、下がってきている所で

 

途中で止まると本当に痛くて

悶絶しました。

 

 

 

 

痛いぃぃ!

 

 

 

 

痛いぃぃ!痛いぃぃ!

 

 

 

 

痛いぃぃ!痛いぃぃ!痛いぃぃ!

 

 

 

 

あ”あ”い!

 

 

 

あ”あ”あ”あ”い!

 

 

 

いだいぃぃ!!!!

 

 

 

夫の腕をキィィィーと、掻きむしりました。

 

 

後で言われたんですが
夫『「助産師さんに上手だよ」って褒められてたから
   凄いよ!上手だよ!ってグッドポーズしたら
   爪を立てて掻きむしられて急に怒られてビックリした』と・・・

 

 

 

 

夫よ・・・

 

目が悪くて見えてないから・・・

 

そんなことしてたんだ・・・・

 

痛すぎてそれどころでは、なかったよ。

 

ごめん・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いだいぃぃぃぃ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いぁだいぃぃぃ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いた”ぁぁいいいい

 

 

 

 

 

急にどばぁぁぁと、なにか生あったかいものが出てきました。

 

 

助産師さん『破水しましたよ!もうすぐです。』

 

 


頭の一番大きい部分に差し掛かった時は

 

今まで以上で

 

最上級に!

 

本当に痛かったです。

 

 

 

そこで、いきむのを止めると

 

 

ハチ切れそうで
≪ここで止まったらもう無理だっ!≫

 

 


痛すぎて一気に出さなきゃ!≫

渾身のいきみをしました。

 

 

 

 


そうこうしている間に
いきなり色んな助産師さんや先生が入ってきました。

 

 

助産師さん『もうすぐ産まれますので

        一度、親御さん達は、出て行ってください。
        旦那さんだけ残って下さい』

 

助産師さんに手を握られました。

 

助産師さん『もう、いきまなくていいよ。

       ふーと、息を吐いて、いきみのがして』

 

 

 

 

 

ふ~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふ~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふ~

 

 

 

 

 

 


急にずう”ぅぅるぅんんと、何かが出た感じがしました。

 

 


助産師さん『産まれましたよ!』

 

 


助産師さん『よく頑張ったね。』

 

娘を取り上げて

すぐに、そのまま胸に抱かせてくれました。

 

 

 

 

 

 

 


やっっっっっと

 

 

 

 

 

 

終わった・・・

 

 

 

 

 

 

 

まだ生暖かい娘を胸に抱かせてもらいました。

 

 

まだ生きているような暖かさでした。

 

 

 

 

 

記念にへその緒を切らせてもらいましたが

 

全然見えてないので


何度も何度もハサミの刃を立てました。

 

 

 


こんなに頑張ったのに・・・

 

 

 

やっぱり赤ちゃん泣かないんだね・・・

 

 

 

 

 


正直、へその緒を切る時も何にも感じなかったです。

 

 

 

感動的な部分なのに・・・

 

 


今まで娘と繋がっていた へその緒・・・

 

 

 

 


でも

 

 

 

 

なんにも感じないんです。

 

 

 

 

ちゃんと、切れているか分からないけど

無感情でじょきじょき切りました。

 

 


抱っこしても静かに寝ている娘。

 

 

 

 

 

 

先生・・・

 

 

 

 

 

何も処置してくれないだね。

 

 

 

 

 

 

 

そっか・・・

 

 

 

 

 

 

やっぱり・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう生きてないんだね。

 

 

 

 

泣いてないもんね。

 

 

 

 

 


本当に亡くなったの?

 

 

 

 

 

 


静かに寝ているだけみたいだよ・・・

 

 

 

 

 

 

 

産んだ直後で頭が真っ白だったのか

感情が無くなったみたいでした。

 

 

 

 

 

 

ずっと会いたかった娘に 

 

やっと会えたのに・・・

 

 

 

 

 

 

なんだろ・・・・

 

 

 

何にも感じない・・・

 

 

 

 

 

本当に泣けなかったんです。

 

 

 

 

 

空っぽで・・・・

 

 

 

 

 

 

 


感情がわかない・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みんな、泣いている・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう、よくわからない・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夫の両親も駆けつけてくれたました。

 

 

夫の両親『頑張ったね』

 

私『はい・・・』

 

 

 

 

 

・・・・

 

 

 

 

私『何だろう・・・

  達成感もなんにも感じないんです。
  なんででしょうね・・・ 

  何も感じないんです。』

 

 

 

 

 

 

 

周りは、みんな泣いてました。

 

 

私だけ感情が無くなったかの様に
全く泣けませんでした。

 

 

 

眼鏡を渡されて、ハッキリと娘の顔を

やっと見ました。


私『可愛いね。ほんと寝てるみたい。』

 

可愛い寝顔を見ても

涙が出ませんでした・・・

 

 

 

 

 


姉妹達が入ってきました。

 


姉『よく頑張ったよ。えらいよ・・・』

 

 

 

妹は、大号泣しながら入ってきました。


妹『お姉ちゃんごめん・・・

  こ”ぉめんね・・・・・・
  夜にお姉ちゃんから『なんか変な感じ。陣痛かな?』って

  ラインが来た時に『気のせいだ。寝とけ』って言ったからだ!!!
  私がそんなこと言ったからだ!!!!

  わたしのせいだっっっ!!

 

 

 

 

私『そんなことない!

   ちがうよ!!! 

   私が大丈夫って思ったからだ!!

   ずっと元気だったから・・・

   大丈夫って・・・・・・

 

  

 

 

 

姉妹達の顔を見た時に

糸がぷっつんと切れたような


やっと

感情を取り戻したような勢いで

 

涙が溢れました。

 

 

私『元気に産めなかったよ・・・

  ダメだった・・・ 

  なんで・・・・

  どうして・・・』

 

 

 

 

 

 

 

 

ねぇ・・・思菜

 

 

 

 

ママだよ。

 

 

 

 

やっと会えたんだよ。

 

 

 

 

泣いてよ・・・・

 

 

 

 

元気に泣いてよ・・・・

 

 

 

 


ただただ静かに寝ているようでした。

 

 

 

 


娘の手を触りました。

 

 

 

 

 

まだ生きているような顔をしてましたが

 

娘の手は、白く

 

 

 

爪も紫で・・・

 

 

 

 

 

 


息できなくて 苦しかったのかな・・・

 

 

 

 

 


私のお腹で苦しかったよね・・・

 

 

 

 

 

 

苦しくて もがいたよね・・・

 

 

 

 

 

 


もしかして・・・
ママが笑っている時も 苦しかったのかな・・・

 

 

 

 

 

 

 


ほんとうにごめんね・・・・

 

 

 

 


娘を抱きしめながら泣きました。

 

 

 


みんな、娘を抱っこしてくれました。

 

 

 

みんな、可愛いと言ってくれたました。

 

 

 

 

 

嬉しいね。

 

 

 

 

よかったね。

 

 

 

 

 

 

思菜・・・

 

 

 

 


みんな、あなたに会いたかったんだよ。

 

 

 

 

 

 


 

2020年2月23日11時10分

私達 夫婦の第一子として娘は産まれました。

 

 

娘の体重は2,828g

 

意外にも もっと大きく育っていると思われた娘ですが

3,000gも満たなかったです。

 

 

 

 

 


2,828g

 

 

2   8   2   8

 

にい はち にい はち


二   ヤ   二   ヤ

 

 

 


ニヤニヤ

 

 

 

 

 

 

 

娘が笑っているようでした。