コニカミノルタの工場棟解体工事 住民への説明不足で着工遅れる

 

大阪狭山市今熊のコニカミノルタ大阪狭山サイトで予定されていた老朽化した工場棟の解体工事の着工が、「アスベストや汚染土壌などの処理についての説明が不十分だ」などとする一部住民の指摘を受けて延期されていることがわかった。同サイトでは住民や市の要望を受け、改めて住民説明会を開いて理解を得たうえで着工することにしているが、新型コロナ感染症対策のため、説明会が開けない状況となっている。
 同サイトが配布した資料や市などの説明によると、撤去されるのは老朽化した工場棟で鉄筋コンクリート3階建て延べ床面積約1万1000平方メートル。耐震性などに問題があり、5年ほど前から使用されていなかったという。工事は3月中旬から1年間の予定だった。
 同サイトは2月1日に解体工事について住民説明会を開き、15人の住民が参加。説明会席上、事前に配布された通知文になかったアスベストや汚染土壌の存在について説明を始めたため、一部住民が反発。改めて説明会を開くことになった。
 しかし、その後の新型コロナウイルス感染症拡大による外出自粛要請を受けて、説明会の実施が延期。現在のところ、開催のめどが立っていない。
 こうした、経緯を受けサイト周辺の住民の間でも工事への関心が高まってきているが、最初に行われた説明会について開催されることさえ知らなかったという住民も多く、説明会の周知方法についても批判がある。サイトに近いマンションでは、管理棟の掲示板に案内文1枚が貼られていただけで、気づいた人はほとんどいなかったという。
 近くに住む主婦、高橋光枝さんは「老朽化した建物を撤去するのはいいが、アスベストの量や土壌汚染の範囲、処理方法などについて事前にしっかりと住民に説明すべきだ。私たちが何も知らないまま、工事が始まっていた可能性もあり、会社のやり方には納得がいかない」と話している。
 今回の問題について、コニカミノルタに取材を申し込んだが、4月30日現在、回答はない。