散っていく桜の花びらに問うてみた
青い空の下だったのか
薄い夕暮れの時だったのか
君の背中に波打つ悲しみが見えたのは
真実なのかただの希望だったのか
今さら分からないものになった

桜が散っていく
窓ガラスの向こうで
風にせかされながら散っていく
ブラインドに切られながら散っていった

確かに珈琲にミルクを入れるような
違和感を時々感じながら
砂糖を入れてみようかと迷い
自分の好みのままという無難な方法を
結局は選んできたように
今さら変えようがないのかもしれない

桜が落ちていく
窓ガラスの向こうで
風に笑われながら落ちていく
枝の影に隠れるように落ちていった

実際の季節と
目の前の季節の違いほどのずれに
君の背中が浮かんでいる
泣いていたのはスーツの皺であって
君ではないし、私でもなかった
そんなワンシーンを棄てないまま