夏夜の月が、ゆらんと揺れて
朧気じみた公園の、ブランコ横に浮かんでます

銀と黒との公園に、程良くほんのり漂う時が
月に揺らいだ歴史の銀と、夜の上擦る伝承黒を
蝉の鼓動に合わせるように、幽かにふるんと混ぜています

月に寄り添うブランコゎ、静かに蝉に語ります

『夏の時間は透明で、なかなか姿を見せません』

月と影との境界で蝉ゎ、ふむむと、うなずきます

蝉の寿命は本当は100億年ほどあるのです
それを隠してブランコに俗物めいた語りをさせる
なかなか蝉は策士です

夏の時間の透明を
幽かに揺らす蝉鼓動

月も朧な公園も、蝉はとっても好きなのです


夏の時間を隠していると、言えない蝉の悩みは深く
だから月と影との境界で、銀と黒とを揺らすのです