君が、緑色の葡萄を宅急便で送ってくれたって? 今晩六時以降に着くって?
アレキサンドリアかナイアガラか。
五六歳のころ、父が、緑色のブドウを僕に与えた。マスカットオブアレキサンドリア。
異国からの風が口と鼻の中に吹き寄せてきたよ。
味も、経験したことがないものだった。たとえるべき持ちあわせ経験がなかった。
アフリカ原住民が、紫色の、自分の皮膚の色と同じのブドウに、房ごと噛みついていた映像を、同じころ見た覚えもある。
小学生になって、冷蔵庫に保管されているブドウをこっそり盗み食いしようと企み、勝手口から家に入ったところ、父が先に盗み食いをしている最中だった。現場を押さえられた父は、私に一房くれて、照れ笑いをしたぞ。
チャイムが鳴った。着いたかな?