昨日はコーヒーを飲みすぎ、睡眠が浅く、早く起きてしまった。寝床で読書していると、裏の犬が吠えた。

吠え続けている。さらに廊下の向こうから、こつこつ、音が聞こえてくる。

起きるとチャイムがかすかに鳴っている。ピンポンではつまらないので犬の吠え声にしてある。裏にそっくりの吠え方をする犬がいるが、チャイムは寝床から1,5メートルの所にあるから区別できていた。しかし、電池が切れかけて音が小さくなっていた。そこで理解した。裏の家もチャイムを犬の吠え声にしていたのだ。

繰り返しノックの音がする。玄関に出ると某女が立っていて、自転車置き場に自転車を取りに来たが、コインがないから貸してくれという。世間話をしながら置き場までついていった。ありがとう。さようなら。

帰りに西友に寄る。館内に響く、女の割れた歌声を聞きながら、人の少ない、不必要に明るい店内を歩くのは、退廃的で気に入っている。深夜の散歩コースのひとつだが、朝来たことはない。

鰹とホヤを買う。鰹は二日に一度食べる。ホヤは見つけたら買う。

昔、岩手県をヒッチハイクで北上していた時のこと、浜辺でホヤを売っていた。南洋で道端に積んでドリアンを売るように、畳表の上に盛ってある。真夏の太陽の下、異様な臭いを発していた。食べたことがなかった私は、はじめ、何であるかさえわからなかった。腐っている可能性が高い。しかし、薦められて食べてみた。なんというまずさ。ガゾリンの臭いがした。明らかに腐っている。頭痛がしてきた。売ったオババは笑っている。悪い女だと思った。

ところが、その後何日も、じゃあ、腐ってないのを食べてみようと試しているうちに、病みつきになった。東京に戻ってからも、ほぼ毎日食べ続けた夏であった。バーボンを初めて飲んで吐き出したが、その後手放せなくなったのと似た体験だった。

買ってきたホヤをいま食べ終えて気づいたんだが、ホヤは、味も香りも、バーボンに似ていないか?