若々しい母が、両腕に私と妹を抱えて、ずかずか押し入って、お願いねーと言って、隣の祖父母の家にほっぽらかす。
うちの母、サザエさんだね。
キャリアウーマンでもあった。ラジオ東京(現TBS)のアナウンサーだ。
祖母は、私たち兄妹を風呂に入れて、全身真っ赤になるくらいに洗ってくれる。
祖父は、竹笛(尺八)を吹いている。夕暮れ迫ると祖父の笛が響いてくるのは当たり前なのだ。
母が、流産したのを知っている。
祖母に、かあさん、便所に来て、下を見てちょうだい、と言っていたから。
祖母は、負担を大げさにこぼす。実は楽しいのだが。
三世代共同生活。切り盛りするのはおばあちゃんだ。
私の家には、両親と私、妹。隣には、祖父母、母の姉夫婦、その娘、母の弟二人、妹一人。猫、犬、アヒル、鶏がいた。
母の姉の旦那と、私の父は、ふたりマスオさんだった。
この生活が崩壊するのは、あと一年後だった。