私が生まれた時、祖父が作ってくれた。

釘を一本も使わず、丸竹と割った竹を組んだだけで作った。坐ると、わずかな緩み具合が心地よい。


二歳違いで妹が生まれた時、私と妹にひとつづつ椅子を作ってくれた。ただ、私は、その出来具合を見て、祖父も衰えたな、と思った。


私が三歳から四歳になる時、東京を離れることになった。

私は、三基の椅子を庭で燃やした。なぜ、持っていかなかったか。

東京や祖父母を思い出して、困ったことになるのではないかと恐怖したからだ。周りは批判的に見ていたが、口出しはしなかった。

祖父はいなかった。