夜中にテレビで観た。

人形浄瑠璃の大夫である。引退興行とその直前の日常が映し出される。

地声がもともと大きい。

肺活量も大きく、長く息が続く。

通常の声は、バスとバリトンの間ぐらい。

つやのある美声は、とても九十間近の老人のものとは思えない。

稽古は厳しく、汗びっしょりになった五十過ぎの中堅を怒鳴りつける。

そしてやってみせる。

確かに格が違う。

声だ! 声だ! と繰り返す。

言葉を音曲化せよ、歌唱とせよ、ということか?

引退興行の演目は菅原伝授手習鑑。

圧倒される大熱演である。

最後、引退の挨拶が終わると、舞台下手から浄瑠璃人形が歩み出て、竹本住大夫に抱きついた。

今晩またやるそうなので、また観る。