冒頭、島田耕作という人物が、神社の境内で刺殺される。社殿の扉には、一人一殺という文字が血で大書してある。犯人は、傍らで首吊り自殺した。
時代も場所もわからない。タダヨシは父の声で目覚める。姿を見せない父の管理のもとに、ニッポンという名の施設で隔離されて暮らしている。唯一の友は、施設アメリカにいる幼なじみドギーだ。メールのやり取りだけで付き合っている。
落雷による誤動作で施設のすべてのシャッターが上がってしまう。暗渠をたどって外に出る。外はジュラ紀か白亜紀か、悪夢のような異世界が広がっていた。防御用のニンテンドーを駆使して、恐竜の背に乗り冒険に乗り出す。危機また危機。途中で乗っていた恐竜が殺される。
火山の噴火、ティラノザウルスの群れ、翼手竜、タランチュラ、ムカデ、へび、ステゴザウルス、両生類、甲殻類、魚竜。
施設にたどり着いたタダヨシは父に、僕はどこにいるのと尋ねる。どこにもない場所だ、と父は答える。
ニンテンドーが改良される。親友ドギーに冒険譚をメールする。前から意味がわからなかったウィンドウとは内から外への開口部だと伝える。ドギーも外に出てしまい、三本脚の畸形ティラノザウルスに殺されてしまう。タダヨシは自分の軽率から唯一の友を死なせたと悔やむ。責任を思い、復讐を決意する。施設内で集団生活をしている仲間たちに会わせてくれと父に強引に頼む。体育館にぎっしり詰まった仲間たちに向かって、タダヨシは、外の世界を伝え、この事態を自分と共有し、どう対処するかともに考えようと演説する。さらに、自治の可能性を示唆する。ある一族のアパートに招待される。その帰り道、少女がつけてくるのに気づく。
少女へレンと徹夜で愛欲をむさぼり、ヘレンが紹介した友、その友、またその友と交情が連鎖し、浮舟を最後に元の生活に戻る。
仲間たちを外のツアーに連れて行ってくれ、彼らが気に入ったら外で暮らすのを許してやってくれ、集団戦術を駆使して生きていけると思う、とタダヨシは父に訴える。父は、全滅の可能性があると答えるが、執拗な訴えに同意する。二日後、仲間たち全員がいなくなった。
ドギーに対してと同じことを仲間たちにしてしまった可能性にタダヨシは脅えながらも、計画通り、自分も再び施設から出る。河に沿って仲間を追う。途中、巨大な卵をみつけ、坂の上から落として食べようとすると、雛が出てきてタダヨシを親だと思い込む。道中ずっとついてくる。森林をたどりながら、旅を続ける。雛だったアヤカは日増しにでかくなっていく。置き去りになった仲間の死体、嵐と洪水。ついに河は滝と崖で行き止まりとなる。
崖を登る途中で怪我をする。アヤカが薬草をくわえてくる。崖の向こうに広大な湖があった。タダヨシは笑いというものをここで初めて経験する。湖のはるかかなたに白い城塞が見える。平和という小さな池の対岸にあると父が言っていた施設アメリカか?
水辺をたどる途中でバルサ材を見つけ、つかまって泳ぐことにする。以後はアヤカと水行する。
ある時、巨大水鳥の群れに囲まれ、アヤカを彼らに託す決心をする。
タダヨシは、ついに仲間を見つけ、山腹を追って行く。白い鳥居がいくつもつながっている蛇腹のような通路に導かれ、そこを通って広場に出ると、羽交い絞めにされ暴行を受けた。鳥居の列と見えたのは、まさに大蛇の胴体の骨であって、蛇の頭骸骨の上で、ガキ大将モーゼが演説をしていた。
タダヨシは辱めを受けただけで、水と食料は与えられた。だが、奴隷としてタコ部屋にぶちこまれ、リンチを受けながらの重労働の日々が始まった。
仲間たちは、沢山の蛇が棲んでいたらしい複雑な迷路をさらに拡張して地下帝国を築いていた。タダヨシは、京都の碁盤目を、縦横に走る迷路にかぶせて座標にする。
或る日、赤ん坊を抱いたヘレンを見かける。だが彼女はタダヨシを覚えていない。モーゼの女になっていた。タダヨシは、赤ん坊を自分の子ではないかと疑う。
作業中に見つけた壁の向こうの水音の解明のために、タコ部屋を出る。打ち壊した向こうは、溶岩洞だった。冷水が流れている。タダヨシは、わざわざ水飲み場に行かなくてもこれを上水にし、上水場か下水場かわからないような伝染病の元になりかねないところは埋め立て、下水は下水路で流すだけにしようと思う。ところが何頭もの翼手竜に襲われ、危ういところをこっそり後をついて来た奴隷少年ヒトミに助けられる。少年はホモだった。
ヒトミと一緒に行った葬式で死者を弔うために歯を折って死体に向かって吹き飛ばす風習があるのを知る。奴隷たちの協力を得て、不衛生な水場の埋め立て作業は成功する。
モーゼの弟の小モーゼが塗り固めておいた開口部を見つけ出し、広げてしまう。下に降りた市民達は、襲ってきた翼手竜に喰われる。タダヨシは自責の念に駆られる。
タダヨシは溶岩洞で水晶を探し出し、それをレンズにして広場の下、鳥辺野に投げ捨てられた遺体を火葬にする。遺体は投げ込まれ続けるので、鳥辺野の煙は絶えなくなる。
祭の前哨と思われる躁状態に帝国が陥ったが、それは間違い。戦争間近だった。良心的兵役拒否と主張してもかなわず、タダヨシは前線に押し出される。敵の赤目族と対決し、食料を投げる。そのために赤目たちに取り囲まれ、危うく逃げる。赤目が帝国市民を食っている現場に出くわす。見つかって逃げる際、ブラザーチャーリーに助けられるが、チャーリーは赤目に殺される。タダヨシは、新解釈の般若心経を唱え、チャーリーを埋める。
戦争は、鳥辺野での火を使った虐殺で終わる。その際、二頭の恐竜が出現し、ニンテンドーの威力によって撃退した。モーゼは強引にタダヨシを側近にする。
戦勝祝賀会。ビール池、そこでのシンクロナイズドスウィミング。小モーゼのパフォーマンス。大内裏。タダヨシは、官僚と思しき白っ子たちと対面する。戦争未亡人たちの歌合戦。帰還兵士たちが混ざり大宴会。帝国市民は長期記憶を持たない。祝賀会を最後にそれ以前を忘れてしまう。タダヨシはこの事態に愕き、原因を探る。
芸人か死刑囚かわからないアルルカンが宴の池に溺れ、タダヨシが潜水するがとらえられない。
男女が朱雀通りに並びあい、笹に囲まれながら集団交合する。
遺伝子を残した男子市民は飲んだくれた末に戦争で死んで食われる。戦争に行くどころかもう死にかけの酔っ払いに話しかけるが、彼は奇怪な遺言を残して死ぬ。
豪雨のあと、ヒトミと川を下る。不要とみなされた新生児を竹の皮で包んだ篭を沢山見つける。
自省を止められないタダヨシは脳内で頻繁に父と議論する。それはプラスとマイナス両方の効果をタダヨシに及ぼす。父とだけではなくなってくる。
火の導入は、近代の愚かしさにまでつながると判断し、鳥辺野の火も消そうと思う。
戦争でうけた右足の裏の傷が性感帯になっているのを、ヒトミの行為によって知る。
死んだ酔っ払いの死体を崖から蹴り落とすブラザーたち。後追いする老婆。水晶のかけらを宴の池に捨てる。
モーゼとヘレンがいる部屋に、授業のために赴くが、モーはいないとメノトガ言う。ヘレンは双子を生んでいた。自分の子ではないかとタダヨシは追求する。あくまで違うと言い張るヘレンに、施設ニッポンでのヘレンのしぐさを、タダヨシはパントマイムでやって見せる。ヘレンとワルツを踊る。ヘレンはついに思い出す。それをきっかけに、他の記憶もよみがえっていく。ヘレンとの情事寸前に赤ん坊を抱えたメノトが帰ってくる。
モーゼが好きなスミレを摘みに、という口実でヘレン、息子ベータ、メノトが十三夜の谷に赴く。タダヨシは強力としてついていく。スミレの野でヘレンと交合する。
地獄を貫く湯の川を渡ったところで、浮舟とその養女アルファが待っている。源泉の湯の中で、タダヨシは白っ子1と議論する。白っこ1は楽園は成員が個別でありながら同一である理想社会を実現していると言い、タダヨシは帝国は歴史過程を持たない生命原理を現実にかぶせたものだと言う。白っ子1が溺れ死ぬ。
タダヨシは湯の川を下る。嘆きの歌を唄う戦争での負傷者が目に付く。前日死んだ白っ子1の遺体がいかだに縛られて流れてくる。タダヨシは、白っ子1も脳内に棲みついたことを知る。虹。間欠泉。次々に現れる負傷者。硫黄のガスで翼手竜が落ちる。白っ子1の遺体が喰われる。
ヘレンと会い、水辺で男たちに過去を解き明かす浮舟を眺める。タダヨシは頓死した男の遺体を追っていき、下流にたむろする男たちに取り囲まれ、水中を走りながら力士とタイマンを張る。男たちと日没までに食料を運んでくるという約束をして、へレンのもとに帰ってくる。浮船もいる。浮船の二面的な役割を知る。しばしの宴。しかしたちまち決裂する。忍者ハットリがヘレンに懸想しているのに気づく。
地下帝国に帰る時、力士ケヤホドがつけてくる。
小モーゼの妨害をヘレンの前もっての機転で切り抜け、ヒトミ、ケヤホドとともに、タダヨシは食料を運ぶ。しかし、渓谷の影が差したら夜であることを予想できず、ヒトジチを食い殺されてしまう。ヘレンが慰める。食料を持ってきた女とその息子を見つける。息子に戦争に行くなと言う。
ヒトミとケヤホドは帝国に帰る。タダヨシはモーゼを待つ。宴の池の主である両生類に乗って、モーゼが生口十五名、ブラザー一個中隊、足の切れた恐竜を引き連れてやってくる。ヘレンを抱き上げ、タダヨシはどこだと叫ぶ。タダヨシが湯の川の中央に出ると、モーゼは興味深いことが起きている、と言う。
家畜人ヤプーよりも奇々怪々で、ツァラトゥストラよりも濃密難解で、失われた時を求めてよりも技巧的修辞的で、第一部だけでも前編後編あわせると源氏物語よりも長大な、前代未聞のものがたり。その後編が間もなく始まります。
前編の本文は下記で読むことができます。
http://akkey77777777.seesaa.net/
ドリフターズより。
時代も場所もわからない。タダヨシは父の声で目覚める。姿を見せない父の管理のもとに、ニッポンという名の施設で隔離されて暮らしている。唯一の友は、施設アメリカにいる幼なじみドギーだ。メールのやり取りだけで付き合っている。
落雷による誤動作で施設のすべてのシャッターが上がってしまう。暗渠をたどって外に出る。外はジュラ紀か白亜紀か、悪夢のような異世界が広がっていた。防御用のニンテンドーを駆使して、恐竜の背に乗り冒険に乗り出す。危機また危機。途中で乗っていた恐竜が殺される。
火山の噴火、ティラノザウルスの群れ、翼手竜、タランチュラ、ムカデ、へび、ステゴザウルス、両生類、甲殻類、魚竜。
施設にたどり着いたタダヨシは父に、僕はどこにいるのと尋ねる。どこにもない場所だ、と父は答える。
ニンテンドーが改良される。親友ドギーに冒険譚をメールする。前から意味がわからなかったウィンドウとは内から外への開口部だと伝える。ドギーも外に出てしまい、三本脚の畸形ティラノザウルスに殺されてしまう。タダヨシは自分の軽率から唯一の友を死なせたと悔やむ。責任を思い、復讐を決意する。施設内で集団生活をしている仲間たちに会わせてくれと父に強引に頼む。体育館にぎっしり詰まった仲間たちに向かって、タダヨシは、外の世界を伝え、この事態を自分と共有し、どう対処するかともに考えようと演説する。さらに、自治の可能性を示唆する。ある一族のアパートに招待される。その帰り道、少女がつけてくるのに気づく。
少女へレンと徹夜で愛欲をむさぼり、ヘレンが紹介した友、その友、またその友と交情が連鎖し、浮舟を最後に元の生活に戻る。
仲間たちを外のツアーに連れて行ってくれ、彼らが気に入ったら外で暮らすのを許してやってくれ、集団戦術を駆使して生きていけると思う、とタダヨシは父に訴える。父は、全滅の可能性があると答えるが、執拗な訴えに同意する。二日後、仲間たち全員がいなくなった。
ドギーに対してと同じことを仲間たちにしてしまった可能性にタダヨシは脅えながらも、計画通り、自分も再び施設から出る。河に沿って仲間を追う。途中、巨大な卵をみつけ、坂の上から落として食べようとすると、雛が出てきてタダヨシを親だと思い込む。道中ずっとついてくる。森林をたどりながら、旅を続ける。雛だったアヤカは日増しにでかくなっていく。置き去りになった仲間の死体、嵐と洪水。ついに河は滝と崖で行き止まりとなる。
崖を登る途中で怪我をする。アヤカが薬草をくわえてくる。崖の向こうに広大な湖があった。タダヨシは笑いというものをここで初めて経験する。湖のはるかかなたに白い城塞が見える。平和という小さな池の対岸にあると父が言っていた施設アメリカか?
水辺をたどる途中でバルサ材を見つけ、つかまって泳ぐことにする。以後はアヤカと水行する。
ある時、巨大水鳥の群れに囲まれ、アヤカを彼らに託す決心をする。
タダヨシは、ついに仲間を見つけ、山腹を追って行く。白い鳥居がいくつもつながっている蛇腹のような通路に導かれ、そこを通って広場に出ると、羽交い絞めにされ暴行を受けた。鳥居の列と見えたのは、まさに大蛇の胴体の骨であって、蛇の頭骸骨の上で、ガキ大将モーゼが演説をしていた。
タダヨシは辱めを受けただけで、水と食料は与えられた。だが、奴隷としてタコ部屋にぶちこまれ、リンチを受けながらの重労働の日々が始まった。
仲間たちは、沢山の蛇が棲んでいたらしい複雑な迷路をさらに拡張して地下帝国を築いていた。タダヨシは、京都の碁盤目を、縦横に走る迷路にかぶせて座標にする。
或る日、赤ん坊を抱いたヘレンを見かける。だが彼女はタダヨシを覚えていない。モーゼの女になっていた。タダヨシは、赤ん坊を自分の子ではないかと疑う。
作業中に見つけた壁の向こうの水音の解明のために、タコ部屋を出る。打ち壊した向こうは、溶岩洞だった。冷水が流れている。タダヨシは、わざわざ水飲み場に行かなくてもこれを上水にし、上水場か下水場かわからないような伝染病の元になりかねないところは埋め立て、下水は下水路で流すだけにしようと思う。ところが何頭もの翼手竜に襲われ、危ういところをこっそり後をついて来た奴隷少年ヒトミに助けられる。少年はホモだった。
ヒトミと一緒に行った葬式で死者を弔うために歯を折って死体に向かって吹き飛ばす風習があるのを知る。奴隷たちの協力を得て、不衛生な水場の埋め立て作業は成功する。
モーゼの弟の小モーゼが塗り固めておいた開口部を見つけ出し、広げてしまう。下に降りた市民達は、襲ってきた翼手竜に喰われる。タダヨシは自責の念に駆られる。
タダヨシは溶岩洞で水晶を探し出し、それをレンズにして広場の下、鳥辺野に投げ捨てられた遺体を火葬にする。遺体は投げ込まれ続けるので、鳥辺野の煙は絶えなくなる。
祭の前哨と思われる躁状態に帝国が陥ったが、それは間違い。戦争間近だった。良心的兵役拒否と主張してもかなわず、タダヨシは前線に押し出される。敵の赤目族と対決し、食料を投げる。そのために赤目たちに取り囲まれ、危うく逃げる。赤目が帝国市民を食っている現場に出くわす。見つかって逃げる際、ブラザーチャーリーに助けられるが、チャーリーは赤目に殺される。タダヨシは、新解釈の般若心経を唱え、チャーリーを埋める。
戦争は、鳥辺野での火を使った虐殺で終わる。その際、二頭の恐竜が出現し、ニンテンドーの威力によって撃退した。モーゼは強引にタダヨシを側近にする。
戦勝祝賀会。ビール池、そこでのシンクロナイズドスウィミング。小モーゼのパフォーマンス。大内裏。タダヨシは、官僚と思しき白っ子たちと対面する。戦争未亡人たちの歌合戦。帰還兵士たちが混ざり大宴会。帝国市民は長期記憶を持たない。祝賀会を最後にそれ以前を忘れてしまう。タダヨシはこの事態に愕き、原因を探る。
芸人か死刑囚かわからないアルルカンが宴の池に溺れ、タダヨシが潜水するがとらえられない。
男女が朱雀通りに並びあい、笹に囲まれながら集団交合する。
遺伝子を残した男子市民は飲んだくれた末に戦争で死んで食われる。戦争に行くどころかもう死にかけの酔っ払いに話しかけるが、彼は奇怪な遺言を残して死ぬ。
豪雨のあと、ヒトミと川を下る。不要とみなされた新生児を竹の皮で包んだ篭を沢山見つける。
自省を止められないタダヨシは脳内で頻繁に父と議論する。それはプラスとマイナス両方の効果をタダヨシに及ぼす。父とだけではなくなってくる。
火の導入は、近代の愚かしさにまでつながると判断し、鳥辺野の火も消そうと思う。
戦争でうけた右足の裏の傷が性感帯になっているのを、ヒトミの行為によって知る。
死んだ酔っ払いの死体を崖から蹴り落とすブラザーたち。後追いする老婆。水晶のかけらを宴の池に捨てる。
モーゼとヘレンがいる部屋に、授業のために赴くが、モーはいないとメノトガ言う。ヘレンは双子を生んでいた。自分の子ではないかとタダヨシは追求する。あくまで違うと言い張るヘレンに、施設ニッポンでのヘレンのしぐさを、タダヨシはパントマイムでやって見せる。ヘレンとワルツを踊る。ヘレンはついに思い出す。それをきっかけに、他の記憶もよみがえっていく。ヘレンとの情事寸前に赤ん坊を抱えたメノトが帰ってくる。
モーゼが好きなスミレを摘みに、という口実でヘレン、息子ベータ、メノトが十三夜の谷に赴く。タダヨシは強力としてついていく。スミレの野でヘレンと交合する。
地獄を貫く湯の川を渡ったところで、浮舟とその養女アルファが待っている。源泉の湯の中で、タダヨシは白っ子1と議論する。白っこ1は楽園は成員が個別でありながら同一である理想社会を実現していると言い、タダヨシは帝国は歴史過程を持たない生命原理を現実にかぶせたものだと言う。白っ子1が溺れ死ぬ。
タダヨシは湯の川を下る。嘆きの歌を唄う戦争での負傷者が目に付く。前日死んだ白っ子1の遺体がいかだに縛られて流れてくる。タダヨシは、白っ子1も脳内に棲みついたことを知る。虹。間欠泉。次々に現れる負傷者。硫黄のガスで翼手竜が落ちる。白っ子1の遺体が喰われる。
ヘレンと会い、水辺で男たちに過去を解き明かす浮舟を眺める。タダヨシは頓死した男の遺体を追っていき、下流にたむろする男たちに取り囲まれ、水中を走りながら力士とタイマンを張る。男たちと日没までに食料を運んでくるという約束をして、へレンのもとに帰ってくる。浮船もいる。浮船の二面的な役割を知る。しばしの宴。しかしたちまち決裂する。忍者ハットリがヘレンに懸想しているのに気づく。
地下帝国に帰る時、力士ケヤホドがつけてくる。
小モーゼの妨害をヘレンの前もっての機転で切り抜け、ヒトミ、ケヤホドとともに、タダヨシは食料を運ぶ。しかし、渓谷の影が差したら夜であることを予想できず、ヒトジチを食い殺されてしまう。ヘレンが慰める。食料を持ってきた女とその息子を見つける。息子に戦争に行くなと言う。
ヒトミとケヤホドは帝国に帰る。タダヨシはモーゼを待つ。宴の池の主である両生類に乗って、モーゼが生口十五名、ブラザー一個中隊、足の切れた恐竜を引き連れてやってくる。ヘレンを抱き上げ、タダヨシはどこだと叫ぶ。タダヨシが湯の川の中央に出ると、モーゼは興味深いことが起きている、と言う。
家畜人ヤプーよりも奇々怪々で、ツァラトゥストラよりも濃密難解で、失われた時を求めてよりも技巧的修辞的で、第一部だけでも前編後編あわせると源氏物語よりも長大な、前代未聞のものがたり。その後編が間もなく始まります。
前編の本文は下記で読むことができます。
http://akkey77777777.seesaa.net/
ドリフターズより。