靴
泣いていたあの子がついに
立ち上がれたのは
「知ってる?」といって
イヤホンを
差し出してくれたあと
かわいい歌声とメロディ
理屈はかなわない
はっきりとわらった目をして
教えてくれたんだ
空にも表情が
あることを見つけたい
そんなふうに聴こえた
「いつか会いに
行ってみるつもりよ、
ありがとうが言いたい」
「できるだけオシャレな
服を着て、
恥ずかしがりながらも」
めちゃくちゃに
書きなぐるだけで
〝終わり〟を決め付けていた
何事も中途半端のまま
次へと逃げていた
孤独とは
心辛(つら)くもあったけど
それだけじゃないことを
両耳にあいた隙を突いた
音楽は、そう神様
生きている感触は
胸の あたたかさに
似てる
幼いなりに
見ていた夢がある
「いつか会いに
行ってみるつもりよ、
ありがとうが言いたい」
「できるだけオシャレな
服を着て、
恥ずかしがりながらも」
少女は髪を揺らしながら
春へ、とけこんでゆく
もう二度と
後ろは振り返らない
靴音がそう言っていた
![トキノキロク(時の記録)-image~00.gif](https://stat.ameba.jp/user_images/20110623/02/shes-quay/69/6d/g/o0020002011307236889.gif?caw=800)
562