昨年のいわゆる「12日間戦争」の時もそうだったのですが、イスラエルのアイアンドーム+デービッドスリング+アロー2+アロー3という「四重の防空網」が鉄壁だという、西側メディアが勝手に言っていた「神話」が イランのミサイルによって、脆くも崩れました。

 

 

(上のイラスト:世界最高と西側メディアが宣伝しているイスラエルの防空網。)

 

アイアンドームがカバーしているのは 短距離で狭い範囲のみで、これは主にガザ地区のハマスが飛ばしている彼らの手作りの原始的なロケットを防ぐ程度の効果しかありません。しかし、その上に、中距離防空用のデービッド・スリング、大気圏外でミサイルを迎撃できると言っているアローシステムがあり、それが組み合わされているのがイスラエルの防空となっています。

 

さらに、今はここには 米国が韓国から移設してきたTHAAD(高高度ミサイル迎撃システム)まであり、大気圏再突入の最終段階にある敵ミサイルを高高度(射程約200km)で直接撃墜する能力を持つ と言われています。(しかし、あくまで「迎撃できる」 というのは 実戦で迎撃できる という保証はなく、どこからいつミサイルを撃ちあげるかが分かっている米軍内での実験段階での迎撃に成功した というだけのものです。)

下がTHAADによるミサイル迎撃の仕組みです。(図はCNNの記事から抜粋)

1.レーダーがやって来るミサイルを検知

2.標的が特定され(システムが)起動

3.迎撃ミサイルがトラック型の発射台から発射

4.迎撃ミサイルは運動エネルギーを利用して飛来するミサイルを破壊する

 

 

というわけで、今はイスラエルは アイアンドーム+デービッドスリング+アロー2+アロー3+THAAD という「五重の防空網」を持っている ということになりますが、THAAD以外は基本パトリオットと同じ技術で米国が開発してイスラエルに供給しているものなので(イスラエルでの現地生産も一部やっているとは思いますが)、この防空網が「鉄壁」だと宣伝を続けなければならない理由があるのでしょう。

 

下のイスラエルのメディア、ハアレツが言っているように「イスラエル軍は90%以上のミサイルを迎撃している」ということにされているのです。(西側メディアもこの「物語」をそのまま報道している)

 

 ↓(日本語に変換したもの)

 

 

しかし、実際は それとは 全く違う状況が見えてきます。

Youtube等にたくさん動画が上がっていますが、1発のイランのミサイルを撃ち落す為に、なんと10発以上の迎撃ミサイルを消費して結局撃ち落せなかった ということが実際には起きているのです。

 

(上の写真:1発のイランのミサイルを迎撃するために、11発の迎撃ミサイルを撃ちあげるイスラエル軍 元の画像はHistory LegendsさんのYoutubeビデオからスクショして取ったもの)

 

今回は イランのミサイルの80%がイスラエルの防空網を通過して着弾している とイスラエルメディアが認めている という記事をご紹介します。これがイランのミサイル技術ですし(しかも最新鋭のミサイルはまだイランは使用していない)、彼らの米とイスラエルに対する「非対称戦」がとても上手くいっている ということを示している1つの例です。

 

 

 

↓(日本語に変換したもの)

 

Israeli Sources Confirm Iranian Missile Strikes Have 80 Percent Success Rates as Air Defences Falter

 

(和訳開始)

 

イスラエル筋は、防空網の不備によりイランのミサイル攻撃の成功率が80%に達していることを確認した

 

イスラエルの新聞ハアレツは、イスラエルと米国の弾道ミサイル防衛の失敗を示す報告や映像が増加していることを受け、イランがイスラエルの標的に向けて発射したミサイルの10発中8発が目標に命中していることを確認した。同紙はさらに、防空体制がますます逼迫するにつれて、命中率が上昇し続けていることを指摘した。イスラエルのアナリストらは、防空網の組織的な疲弊や、カタールやアラブ首長国連邦などの同盟アラブ諸国における米国の前方レーダーシステムの破壊により、提供できるキューイングデータの量が制限されたことが要因となっていると指摘した。情報筋はまた、レバノンのヒズボラ民兵組織による大規模な爆撃が、イスラエルと米国の防衛体制をさらに逼迫させていると指摘した。 

 

 

米国とイスラエルが2月28日にイランに対する本格的な攻撃を開始する前に、米陸軍と海軍はイスラエルとその周辺に弾道ミサイル防衛システムを配備し、現地のミサイル防衛を支援した。これには、イスラエルとヨルダンに配備されたとされる米陸軍のTHAADシステム3基が含まれており、これらのシステムには米国本土、ハワイ、グアム、韓国など世界中から弾道ミサイル迎撃ミサイルが割り当てられているほか、 SM-2、SM-3、SM-6弾道ミサイル迎撃ミサイルを発射できる海軍のイージス駆逐艦も配備されている。しかし、ミサイル防衛の枯渇は深刻であり、特に米国とイスラエルのミサイル防衛兵器の在庫は、2025年6月のイランとの12日間の敵対行為による深刻な枯渇からまだ回復には程遠いことを考慮すると、その深刻さは際立つ。 

 

 

 

イランは、貫通能力が向上した複数の弾道ミサイルを使用しており、その中には、 高度な極超音速滑空体で高価値目標を無力化する能力を示したファッタ2 や、高度な機動再突入体を使用する旧型で単純なファッタなどがある。映像には、イランの弾道ミサイルがイスラエル上空で複数の弾道ミサイル迎撃を繰り返し回避してから目標に命中する様子が映っている。他のイランのミサイルは、迎撃を困難にするために 複数の弾頭を使用している。ミサイル技術のこうした進歩に加えて、イランのイスラム革命防衛隊は、カタールのAN/FPS-132レーダーや、ヨルダンとアラブ首長国連邦の2つのAN/TPY-2レーダーなど、27億ドル相当 の高価値レーダーシステムを迅速に破壊した。これにより、米国とイスラエルの防衛は、艦載レーダーとトルコのAN/TPY-2レーダー基地に大きく依存することになった。 

 

(和訳終了)

 

 

上の記事ではイスラエルの新聞ハアレツが 今は80%以上のイランのミサイルが防空を通過して着弾している ということを認める記事を出していたのを別の軍事情報サイトが報じているものですが、イスラエル政府にとっては非常に都合の悪い情報なので、今はハアレツからはその記事は削除されているようで、私がハアレツ内を検索しても見つかりませんでした。

(「イランのミサイルを90%以上迎撃できている」という記事しか残っていない)

 

しかし、イスラエルのメディアがそう報じていたなら、それは間違いないのでしょう。

そして、イスラエルは 正直、「詰んでいる」と私が思うのは このイラン戦争以降もレバノン南部に軍事侵攻して民間人も含めて1000人以上を虐殺しまくっているわけですが、イスラエル軍の人的損失や装備の損失(ヒズボラによるメルカバ戦車の破壊等)もかなり大きいようなのです。

 

元英国外交官でベイルートに拠点を置く紛争フォーラムの創設者兼ディレクターであるアラステア・クルック氏の話によれば、イスラエル軍(IDF)は レバノン戦線で100両以上のメルカバ戦車とその戦車に乗っていた兵士を失っている とのことです。

 

(上の写真:向かって右側がアラステア・クルック氏 写真はこちらのビデオから引用)

 

この イスラエル軍が国際法違反の侵略行為で自ら拡大したレバノン戦線で ここまで苦労している という情報も 西側のメディアではほとんど報じられていませんね。

 

そして、イスラエルが「詰んでいる」理由は他にもあって、ハマスとの戦闘が始まった2023年10月7日以降、イスラエル国民の100万人前後がすでに国を離れている ということです。

イスラエル国民は そのルーツが旧ソ連や東欧地域からやってきた二重国籍や三重国籍者が多く、ひとたび戦争が始まると、そのような他国の国籍も持っている人は 簡単に出て行きます。特に高度なスキルを持っている人で他の国でも簡単に仕事を見つけられそうな人ほど国を離れます。

 

そして国に残るのは 超正統派と言われるユダヤ教徒の人たちが多いのですが、この人たちには 他の国民に課されている徴兵義務が課されていないので、彼らは生活保護のようなお金までもらって5人も6人も子供がいる、子沢山のファミリーが多いのですが、IDFにとっては 国家の支出が増えるだけで、軍事的には全く「役に立たない」人材ということになります。

そして、徴兵義務が免除されている特権があるのと彼らが子沢山なせいで、イスラエル建国時にはわずかしないなくて保護対象となっていた、この正統派ユダヤ教徒の数 というのがどんどん増えていって、今は国民の4割にまで達しています。

 

ですから、ネタニヤフは45万人の予備役の追加召集を目標にしているわけですが、国民の間には 徴兵される人とされない人の間での「不公平感」の高まりが大きくなっているのです。

ですから、おそらく兵士の人員 という点でも IDFは今後行き詰まっていくと思います。

 

元々人口が1000万人しかいないイスラエルで、国民の10人に1人の100万人が国を離れる というのはとんでもない国家存亡の危機だと思いますが、それを西側メディアはなぜか報じず、ウクライナ戦争で1億4000万人のロシアから50万人が一時的に出国した程度で、ロシアは「崩壊寸前」かのように言っているのは非常におかしなことだと思います。仮に西側の言う「物語」通りに、50万人がロシアから逃げて100万人もが戦死した とのを真に受けたとしても、約100人に一人の国民を失った というものですから、10人に1人の国民を失ったイスラエルの10倍はマシだということになります。

 

ですが、イスラエルが 国家存亡の危機になろうが、私個人的には イスラエル政府には全く同情の余地がない と思っています。彼ら自らが領土の範囲を定めていなくて、他国をどんどん侵略して「大イスラエル」を作ろうという思想を彼らは持っているからです。

 

(上の写真:IDF軍のユニフォームには国旗の下に「大イスラエル」の地図も縫い付けられている)

 

その「大イスラエル」構想に基づき、レバノン、シリアにも軍事侵攻して、ガザからパレスチナ人を絶滅させることを狙い、ヨルダン川西岸にもどんどん入植地を広げてパレスチナ人を追い出し、出て行かなければ容赦なく殺しているわけですから、その罰を今、受けている というか、メシア(救世主)の到来を信じて「世界の終り」を自分たちで作りだそうとしている ということでしょう。

巻き添えを食らう関係ない私たちは たまったものではないですが、それが彼らのカルト的な宗教です。

 

悪魔的なのはイスラエル政府のみで国民はまともだ と思いたいのですが、残念ながら、そうでもないようです。

ユダヤ系イスラエル国民の90%以上が このイランとの戦争に賛成しているからです。(アラブ系イスラエル国民の支持率は低い)

 

このことでも、2023年以降、国を離れたのは 別にイスラエルに住む必要のない、ほぼ「世俗的な」人たちで、ユダヤ教の熱心な信者はイスラエルに残ってイランやレバノンのヒズボラとの戦争を煽っている人が多い ということが分かります。

 

    ↓(日本語に変換したもの)