こんな事を書くのはこの年齢になって、まるでいい歳をして、
若い武勇伝好きな人間みたいで嫌ですが、
わたしは自分のエゴを通す為、
管轄外で五ヶ所の少年院に行きました。
その為に使ったものは、差し入れや院内から借りれた書物と、ペンと紙と
この口だけ、
そして更には家族の援護も「使い」ました。
以下、短絡的にホムペの本の様に。
「先生!就寝点呼前に髪をブラシでとかすと、毎回片方だけ血流がよくなるんです!」
どうしてだろう。脳に疾患でもあるのだろうか。怖い。
「点呼の最中だし、明日医務課の先生に伝えなね」
「はい。」
私の医務課担当医の先生は、
それはもう美人で、茶目っ気があって、
ある下世話な週刊誌には「メーテルに似ている」と書いてあった、と母親から後に聞きました。実際、似ていました。
彼女は明らかにわたしを贔屓していました。
それは、彼女の態度や言葉からわたしや母親が推測しただけなのですが、
「真心ちゃんかわいい」
「真心ちゃんの目になりたい」「真心ちゃん、ホウキで掃除してる姿凄く目立ってたよ、写真に撮りたかった」
↑これらを他の女子がいる前で言うことも多々ありました。
他室で他の女子が「先生!」と呼んでいるのに、
「今いませーん♪」と言った後にお茶目に舌を出して私に話を続けたり、
仮退院時には
「だって私、真心ちゃんがどんな下着履いて帰るか見ないと、見送れないもーん」
そして、よくウォークマンを格子越しに渡してくれて曲を聞かせてくれたのですが、
それは毎回「砂の果実」という曲でした。
他にも、わたしに対して贔屓、と捉えられるのであろうことたちは沢山ありました。
母親から訊いて私も思ったのが、彼女はレズビアンでした。そしてまた、聴かせてくれた、仮退院時に
持って帰ってねと渡されたCD「砂の果実」を歌っている中谷美紀もレズビアン説があります。
教官が「何してるんですか?」と怪訝な顔付きで彼女に話した位です。
「治療の一環ですから。」と答えていました。
最初の説明では、砂の果実、これを「こころちゃん、お母さんのことを考えながら聴いてみよう、一緒に聴こうね」と、「家族」を用いて聴かせてくれました。
ですが、この曲には、
「この胸が騒ぐ、悲しい懐かしさで、君を思う度、
予め失われた革命の様に」という歌詞があります。
この歌詞の部分は家族とは関係のない歌詞だと思いませんか。
更にはどういう意味なのでしょうか。
私は、いつからか、わたしの中にいるのか、と思う彼と会話をする。
「やあ、君はいつまで薬を飲んで体を売るんだい?」
「偉そうに言わないで、今、わたしはこの世界が本物なのか考えに考えているの。
空や友人知人。関わる人全てに対してが奇妙なの。目にうつるもの全てに対して。」
「だから、飲むのかい?それも、空腹で。」
「うるさいわね、」
略
「君は知っている?
夜中の体育館で、何が行われていたか。
僕が体育館に向かう前には、
まず整列して、
順にすると2階寮、3階寮の少年を通した後で、4階寮が最後尾に並ぶんだ。
階段は女子より新しい、白くて、階段を降りて一階右側には、版画や絵画や、時には習字の半紙を貼ってある。それを右に見ながら左にあるドアを出て、体育館に向かう、
女子は間反対から向かう様にできているね。」
「自分でもびっくりなのだけど、なぜそんなに詳しいの、自分も、あなたも。いつも思うわ。特にここ最近。
だって、男子の一階はおろか、女子が見れる訳がないのよ?施錠がしてあったし、体育館には女子が毎回男子より先に入るのだから。つまり私が知らない筈の記憶をなぜわたしは持っているの?」
「さあ、僕にも分からない。
話を戻して、人間には習慣、というのがあるね?
体育館にも繋がる話だからよく聞いておくべきだよ。」
「なあに?」
「気を付け、前へ習え、の後の
「休め!」のポーズ、
そして投薬の後に舌を出して見せる日々が、長年続いたね?
それらを駆使して君がよく言う白衣の悪魔達は、色々としていたんだよ。僕もされた。」
「どういう事?」
「簡単に説明すると、休めのポーズのまま投薬の為舌を出す→これで結びつく筈だよ。」



