雨の有楽町で素敵な一夜を過ごした。ミュージカルナンバー一色、役者が歌うステージ。

MC無しで、歌と踊りのみで表現されるそのステージは、モロに役者の個性が見える。

演じるのではない、役になりきるのではない、役者の個性を歌と踊りで表現する。歌い手は歌で演じるものだが、役者が歌うということはそれとはちょっと違う。

役者個人を歌に投影し、歌に乗せて自分自身を見せていく。多分シンガーとは逆のアプローチ。

ミュージカルの中でならば、その役が歌い、芝居の延長場としての歌だ。つまり、役を見せるための歌であり、芝居。しかし、こういうステージは、楽曲そのものを見せていくことになる。自ずとその役者の魅力そのもの、役者自身のポテンシャルと未来が垣間見える。

そう言う意味でとても興味深いステージだった。

ここからは出演した各役者の、僕が見た未来、」完全なる私見である。

 

J-kim、圧倒的な歌声とそこに秘められたパワー。シンガーとしても役者としても他を圧倒する魅了を持つ彼女は、独自のステージ、あるいはかのjyのために作られた芝居で多くの人を魅了していくのだろう。

願わくば、彼女のために作られたミュージカルでその芝居と歌を感じたい。

 

渡辺大輔、ロミジュリ以来に目撃したが、やはり会場を飲み込むパワーは素晴らしい。そのパワーと幅の広い演技力で、大きな場所でジャイアントキリングして欲しい。というか出来るだろう。

癖の強い役、ともすればすい嫌いのはっきり分かれる役で、主役というよりはその敵役や、当初はあまり重要視されていないような役でかっさらっていくようなそんな活躍を期待したい。もちろん大きな舞台や映画、ドラマが似合う役者だ。前にも書いたが、そのあたりは山田孝之のポジションと似ている。

 

田村芽美、何とも魅力的で多彩な表情を見せる役者。そしてその容姿からはちょっと想像もつかない

迫力ある歌声。歌姫、本田美奈子.さんを演じた女優というのも納得できる。

彼女には是非、悪女、もうとびっきりの悪女を演じて欲しい。昼ドラとかの安っぽい悪女ではない、スクリーンに大写しでその笑顔に隠された毒で、日本中を感染させるような、そんな女優に。

 

蘭乃はな、この日の収穫の一つ。とてもスター性を感じる役者だ。彼女はど真ん中でスターを演じ、そこから垣間見える天然な人間性が、思わず笑顔を誘うような。今で言えば菅野美穂に当たるのだろうか?

とにかく、どんなシーンでもいい、彼女がセンターに立つ芝居、ドラマ、映画で魅せて欲しい。多分彼女を輝かせられる、監督やプロデューサー待ちの状態だ。

 

高崎俊吾、彼も大きな収穫だった。蘭乃はな同様、センターをまっすぐに歩ける役者だ。とても純粋で美しい俳優が似合うのだろう。ただ、個人的には、彼は悪気のない一流詐欺師、頭脳派のピカレスクヒーロー

みたいな立ち位置も見てみたい。彼も彼自身のためのステージを作れる監督、プロデューサー待ちなのだと思う。

 

私見ばかり綴ってしまったが、最後に、観客の熱も素晴らしかった。久しぶりに決まりものではないカーテンコールとスタンディングオベーションを見た。観客は完全にステージの、役者の鏡だ。

こういう熱のある温かい観客が支えるステージと役者は素晴らしいに決まっている。

次回のステージも期待したい

次回は是非今回見逃した方も会場へ足を愛を運んで欲しい。