シェパード中国物産家畜診療所のブログ

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徒然なるままに、牛のこと、エサのこと、農家さんのことを書いていきたいと思います・・・

ごぶさたしております。シェパード獣医師の戸田克樹です。

 

9月だというのに・・・

どこもかしこも暑いですね。鹿児島を出て北に向かったはずなのに、中国地方でも暑さに悩まされました。

繁殖農場では発情の鈍化が、肥育農場では日中の採食量の低下に対する相談が多かったように思います。

 

子供のころは日本は温帯と習いましたが、どうやら亜熱帯に変化したのではないでしょか。

そんな日本の夏は、これまでよりも長く、そしてより厳しいものになってきています。

より強力な扇風機の設置、ミストの利用、屋根への散水、屋根塗装など、積極的に暑熱対策をしていく必要がありますね。

 

暑さだけでなく、アブやサシバエといった夏季に特有な吸血昆虫の存在も牛にとっては厄介です。

そして、意外に見落としがちなのですが、エサによってくるハエも非常に厄介な存在なのです。

ハエは食べるときに一度ストロー状の口から消化液を出して少し柔らかくしてから吸引します。このときにハエの体内にいるウイルスや細菌がべたべたとエサに押し付けられてしまいます。もちろん体や足先についた病原体もエサについてしまいます。さらにハエはそこら中で糞や尿を出していきます。たくさんのハエが寄っている牛のエサは、そのようにしてどんどんと汚染されてしまうのです。

 

ビニールシートなどで覆ったり、台車に乗せて蓋をしたり、ハエが寄ってこないような対策をとることも必要です。

牛においしく食べてもらうためにも、変な病原体を口にしてしまうことがないようにするためにも、ぜひ対策を行ってみてください。

 

 

シェパードの戸田克樹です。

今回は中国地方の日差しの強さに悶絶・・・でした(笑)。

ここ数日、鹿児島は少し涼しくなっていたのですが、岡山も広島も島根もとにかく暑かったです。

 

今回はとある牧場の社員さんが、授精時の手技についてベテランの方に見てもらっていたのでそのあと少し話を聞いてみました。その社員さんも自分で何頭も授精してきていた方なのですが、触診による卵巣の状態の答え合わせ、頸管の扱い方、凍結精液の融解の仕方、衛生的な作業の確認などを改めて行えてよかった、ととても満足気でした。

 

くり返し作業をしていくと、体が覚え、作業に慣れが生じます。

いちいち考えずに作業を滞りなく進められること自体はいいことなのですが、ときには基本が疎かになることもあります。そうなるころに改めて別な人のやり方を見たり聞いたりすることで、忘れていたこと、抜けていたこと、我流の悪いところが修正され、さらに技術が洗練されていくのではないでしょうか。

 

私自身も治療内容や牛群観察法について、改めてベテランの先生方のやり方や教科書の情報を頼りに自身の技術をアップグレードさせなければいけないと刺激をもらいました。

エサのやり方にしても、牛の見方にしても、スタッフへの指示の出し方にしても、職場にいる先輩たちの経験や知識は非常に有益であります。ありがたや先輩方!!!(*^▽^)

 

戸田

 

こんにちは。シェパードの藤﨑です。

全国各地でひどい暑さが続いてますね。体調管理に気を付けて、ご無理なさらず、ご自愛ください。

 

今回の巡回では島根県、広島県、岡山県の農家さんのところにお伺いしました。

厳しい暑さのなかご対応してくださりありがとうございました。

 

今回伺った農家さんで「7月から育成牛の便が全体的に緩くなった」という相談を受けました。

夏は飲水量が増えたり、暑熱ストレスにより第一胃の動きが低下し消化不良となったり、細菌や寄生虫が繁殖しやすい時期だったりと季節的に下痢をしやすい時期ではあります。

泥状下痢~軟便を繰り返すという育成牛を診察してみると、便は柔らかいですが、消化不良ではなく、第一胃もしっかりと動いてました。しかし、便の色が緑っぽく、第一胃や腸管が動いているわりに反芻の様子が見られません。

他の育成牛にも目を向けると、活力はありますが、座って反芻している姿があまり見うけられませんでした。なかにはお尻にお枕がついている牛もいました。しかし被毛はつやつやと光沢があります。

元気だけど下痢をしていて、なかには栄養状態が良い牛もいる。不思議に思って飼槽を見てみると、青々して柔らかく香りのよいチモシーが目につきました。大変品質が良いものでした。

 

そうです。原因はなんとこの品質の良いチモシーでした。

 

7月からこのチモシーを使いだしたとのことで、品質が良く柔らかいため、繊維が少なく物理的刺激が減ってしまいます。そのため、反芻が減ってしまい、胃は動いてはいますが軽いアシドーシスのようになってしまったのではないかと考えます。また、栄養価あがったためにお尻におまくらがついてしまうようになってしまったようです。

ハッチにいるような子牛にあげるには、ちょうど良い粗飼料でしたが、育成牛には少し物理的刺激が足りなかったようです。

今回はチモシーにワラを追加することを提案し、経過観察しています。

 

後日、農家さんから便性状が改善したとの連絡があり、安心しました。

 

このような事例は餌の切り替え時期などに起こることがあります。便が柔らかくなったと感じた時には、一度給餌している草や餌の種類や量を確認してみると良いかもしれませんね。