目尻切開・タレ目形成後に白目が膨らんで見える原因は、結膜浮腫です
目尻切開やタレ目形成を受けた後、鏡を見ていると、白目の上に透明な膜がぷっくりと盛り上がっていることに気づき、驚かれる方がいます。
まぶたの腫れとは異なる場所に起こる変化のため、「手術がうまくいかなかったのではないか」と心配になることもあります。
これは、結膜という薄い膜の下に一時的に体液がたまることで起こる結膜浮腫(conjunctival chemosis、白目を覆う膜が膨らむ状態)であることが多く、回復過程の中で一時的にみられる変化であるケースも少なくありません。
今回は、目元整形を専門的に行うシウォン整形外科が、目尻切開・タレ目形成後の結膜浮腫がなぜ起こるのか、そしていつ頃落ち着いていくのかについて詳しくご説明します。
結膜浮腫とまぶたの腫れは、起こる場所が異なります
白目を覆っている薄く透明な膜を結膜といいます。
この膜とその下の組織の間に体液がたまると結膜が膨らみ、鏡で見ると、白目の上に透明な膜が一枚ぷっくりと乗っているように見えます。
まぶたの皮膚そのものが腫れる状態とは、発生する場所が異なります。
そのため、結膜浮腫とまぶたの腫れを同じ現象として混同しないことが大切です。
まぶたの腫れや内出血については、別の記事で詳しくまとめていますので、あわせてご参考ください。
目尻切開・タレ目形成では、結膜を直接扱うためです
目尻切開とタレ目形成(下眼瞼下制術)は、それぞれ目尻の外側と下まぶたの縁にある結膜へ、直接切開や縫合を行う手術です。
この部分は体液が流れる通り道でもあるため、切開や縫合を行った部分で一時的に体液の循環が滞ると、結膜が膨らむ反応が起こることがあります。
これは、手術そのものが失敗したことを示すサインというよりも、結膜組織が切開や縫合による刺激に反応し、回復していく過程で一時的にみられる変化である場合が多くあります。
結膜浮腫は手術の失敗ではなく、回復過程の中で一時的に起こる変化であることが多いです。
目尻切開・タレ目形成後の結膜浮腫
以下は、目尻切開修正とタレ目形成の再手術を行った症例です。
目尻切開・タレ目形成後に、どの程度の結膜浮腫が生じるのか確認することができます。
目尻切開修正・タレ目形成再手術前
目尻切開修正とタレ目形成再手術を受ける前の目元です。(22.01.07)
6年前、二重手術と同時に複数の目元切開手術(目頭切開、目尻切開、タレ目形成)を受け、その後に生じた目尻切開の副作用を改善するために来院された患者様です。
手術前、別の角度から見た状態です。(22.01.07)
手術前の目尻外側を確認した写真です。(22.01.07)
目尻切開修正(目尻切開再建)・タレ目形成再手術前 右方注視(22.01.07)
目尻切開修正(目尻切開再建)・タレ目形成再手術前 左方注視(22.01.07)
目尻切開修正(目尻切開再建)・タレ目形成再手術前 45度側面(22.01.07)
目尻切開修正(目尻切開再建)・タレ目形成再手術前 90度側面(22.01.07)
目尻切開修正(目尻切開再建)・タレ目形成再手術前 45度側面(22.01.07)
目尻切開修正(目尻切開再建)・タレ目形成再手術前 90度側面(22.01.07)
目尻切開修正・タレ目形成再手術前の状態チェック
手術前の状態を確認した写真です。
目尻切開修正(目尻切開再建)・タレ目形成再手術前の状態チェック(22.01.07)
目尻切開修正(目尻切開再建)・タレ目形成再手術前の状態チェック(22.01.07)
以前の目尻切開では、グレーライン(gray line)を切断(breakage)し、目の横幅を広げる方法で手術が行われたものと考えられます。
この方法では目の横幅を広げる効果は明確ですが、滑らかな目尻の形を維持する役割を持つグレーラインの連続性が保たれなくなるため、目尻切開を行った部分が開いて見えたり、形の変形が生じたりすることがあります。
コの字変形(conjunctival web、水かき状変形)
代表的な目尻切開の副作用の一つが、いわゆる「コの字変形」と呼ばれる状態(conjunctival web、水かき状変形)です。
外眼角(目尻)は通常、鋭く尖った形をしています。しかしグレーラインを切断すると、切開部が開いて見えるコの字状の変形が生じやすくなります。
また、グレーラインを切断する方法の目尻切開では、同時に外眼角腱(lateral canthal tendon)を切断する方法が使われることも多くあります。これによって外眼角の安定性(stability)が低下し、外眼角が眼球にしっかり密着できなくなることで隙間(gap)が生じ、強膜露出(scleral show、粘膜が浮いて見える・粘膜がめくれて見える・眼瞼外反)が起こることがあります。
目尻切開修正(目尻切開再建)・タレ目形成再手術前の状態チェック(22.01.07)
さらに、以前の目尻切開の切開線には色素脱失が起きており、白い傷跡が確認されます。
このような部分については、目尻切開修正の際に傷跡除去(scar excision)を同時に行う必要があります。
以上の目尻切開による副作用を改善するため、目尻切開修正(目尻切開再建)を行いました。
また、以前受けたタレ目形成の効果が弱かったため、追加でタレ目形成も同時に行いました。
実施した手術
目尻切開修正
目尻切開修正(目尻切開再手術)
目尻の高さ調整
タレ目形成再手術
シウォン整形外科
目尻切開修正・タレ目形成再手術前と9日後の比較
目尻切開・タレ目形成後の結膜浮腫が落ち着いていく順序
結膜浮腫が減っていくスピードには個人差がありますが、一般的にはいくつかの段階を経て落ち着いていきます。
手術直後は結膜が最も大きく膨らんでおり、抜糸を行う手術後1週間前後までは、その状態が続くこともよくあります。
2〜3週間頃になると、膨らんでいた結膜が徐々に落ち着いていく経過がみられます。
1か月頃には、目を開けた状態で結膜の膨らみが目立つ程度もかなり減ってきます。
ただし、結膜浮腫はまぶたの腫れよりも長く残ることがあります。
そのため、まぶたの腫れが引いたからといって、結膜浮腫も同時にすべてなくなったと判断することはできません。
目尻切開修正(目尻切開再建)・タレ目形成再手術前(22.01.07)→ 9日後(22.01.15)正面注視
目尻切開修正(目尻切開再建)・タレ目形成再手術前(22.01.07)→ 9日後(22.01.15)上方注視
コの字変形が生じた根本的な原因は、グレーラインの連続性が失われたことにあります。そのため、本来の形を回復させるには、グレーラインを再びつなげる方法で目尻切開修正(目尻切開再建)を行う必要があります。従来、このような目尻切開修正を行うと、必然的に目の横幅が狭くなってしまうというデメリットがありました。そのため近年では、目尻切開修正を行いながらも、できるだけ目の横幅が狭くならないようにする手術方法を用いるようになっています。
以前コの字変形が生じていた外眼角が、本来の尖った外眼角の形に戻っていることに加え、目の横幅も狭くなっていないことが確認できます。
目尻切開修正(目尻切開再建)・タレ目形成再手術前(22.01.07)→ 9日後(22.01.15)右方注視
目尻切開修正(目尻切開再建)・タレ目形成再手術前(22.01.07)→ 9日後(22.01.15)左方注視
目尻切開修正(目尻切開再建)・タレ目形成再手術前(22.01.07)→ 9日後(22.01.15)45度側面
目尻切開修正(目尻切開再建)・タレ目形成再手術前(22.01.07)→ 9日後(22.01.15)90度側面
目尻切開修正(目尻切開再建)・タレ目形成再手術前(22.01.07)→ 9日後(22.01.15)45度側面
目尻切開修正と同時に行ったタレ目形成再手術では、直線的だった下眼瞼の傾斜を曲線的な形へ変化させることで、強膜(白目)の露出を増やしました。
これにより、窮屈に見えていた目元が改善していることが確認できます。
目尻切開修正(目尻切開再建)・タレ目形成再手術前(22.01.07)→ 9日後(22.01.15)90度側面
目元切開手術後に起こる結膜浮腫や結膜充血の程度には大きな個人差がありますが、一般的には時間の経過とともに落ち着いていきます。
また、これらによって後遺症が残るケースもほとんどありません。
目尻切開による副作用を減らすためには、ご自身の目に合った方法を選ぶことが最も重要です。
しかし、予想外に副作用が起こった場合には、以前どのような方法で手術を受けたのか、現在の目がどのような状態なのかを総合的に判断したうえで、適切な手術方法を選ぶ必要があります。
結膜浮腫があるときに、してよいこと・避けるべきこと
結膜浮腫が落ち着くまでの間は、まず目をこすらないことが重要です。
手で目をこする刺激によって結膜組織がさらに刺激され、浮腫が強くなる可能性があります。
- 目をこすったり、触って摩擦を与えたりしない
- 案内された方法と時期に従って冷却する
- 読書や画面作業など、長時間目を開け続ける作業を減らす
- コンタクトレンズの再開時期は、診察で案内された内容に従う
具体的な冷却方法や、コンタクトレンズを再び使用できる時期は、患者様ごとの回復速度によって異なります。
ご自身で判断するのではなく、診察時に直接案内を受けることが安全です。
このような場合には診察を受けてください
膨らんでいる程度が時間の経過とともに減らず、むしろ大きくなっている場合、痛みや分泌物を伴う場合、また結膜が大きく膨らんで視野の一部を遮るような場合には、そのまま経過を見るのではなく診察で確認する必要があります。
結膜浮腫の程度や回復のスピードには個人差があります。
そのため、写真やご自身の感覚だけで判断するのではなく、実際の目の状態を医療スタッフに確認してもらうことが必要です。
結膜浮腫についてよくあるご質問
Q1. 結膜浮腫が起きたら、手術が失敗したということですか?
いいえ、必ずしもそうではありません。
目尻切開やタレ目形成は結膜を直接扱う手術であるため、切開や縫合を行った部分で一時的に体液の循環が滞り、結膜が膨らむ反応が起こることがあります。
回復過程の中で一時的にみられる変化であるケースが多いため、まずは時期ごとの経過を確認することが大切です。
Q2. 結膜浮腫は、まぶたの腫れと一緒に引きますか?
必ずしもそうではありません。
結膜浮腫は、まぶたの腫れよりも長く残ることがあります。
そのため、まぶたの腫れが落ち着いた後でも、白目の上にある結膜がまだ膨らんで見える場合があります。
この二つは、発生する場所も、落ち着いていく速度も異なる変化として考える必要があります。
Q3. 白目の部分が水ぶくれのように見えますが、大丈夫ですか?
結膜の下に体液がたまり、透明な膜が膨らむことで、水ぶくれのように見えることがあります。
これは、結膜とその下の組織の間に体液がたまっている状態です。
ただし、膨らみが小さくならずに大きくなっている場合や、痛み、分泌物などを伴っている場合には、ご自身で判断せず診察を受けてください。
Q4. 冷却をすると、より早く落ち着きますか?
冷却は、案内された方法と時期に従って行うことで、回復管理の一つとして役立つ場合があります。
ただし、結膜浮腫が落ち着くスピードには大きな個人差があります。
いつ、どのような方法で冷却を行うべきかについては、診察時に直接案内を受けることが安全です。
9日目に膨らんでいた結膜が、5週目には落ち着いた経過
以前の目元切開手術による副作用を改善するため、目尻切開修正とタレ目形成再手術を同時に受けた患者様の経過です。
抜糸を行った9日目には、手術範囲全体に内出血や腫れが残っており、白目には結膜浮腫と結膜充血が同時に確認されました。
同じ患者様の5週目の写真では、膨らんでいた結膜や赤みが見られなくなり、白目が本来の状態に戻っていることを確認できます。
この時期にみられる結膜浮腫と結膜充血は、一般的には2週間ほどかけて落ち着き、特別な後遺症を残さない場合が多くあります。
ただし、落ち着くまでのスピードや程度には個人差があるため、すべての患者様が同じ経過をたどるわけではありません。
目尻切開修正・タレ目形成再手術 5週目の経過・症例
目尻切開修正・タレ目形成再手術前(22.01.07)→ 5週後(22.02.12)正面注視
目尻切開修正で特に注意しながら改善する必要がある重要なポイントは、次の二つです。
コの字変形が生じた外眼角を本来の形へ戻すことと、外眼角の不安定性を改善し、強膜露出(scleral show、粘膜の浮き・めくれ)を改善することです。
また、この二つの改善した状態を、時間が経過した後も安定して維持することが重要です。
目尻切開修正による目尻形態の再建
目尻切開修正・タレ目形成再手術前(22.01.07)→ 5週後(22.02.12)上方注視
目尻切開修正(目尻切開再建)後5週目の状態です。
以前みられていたコの字変形に対し、グレーラインを再建することで改善していることが確認できます。
また、外眼角を適切な位置に再固定することで、強膜露出についても改善していることが確認できます。
目尻切開修正・タレ目形成再手術前(22.01.07)→ 5週後(22.02.12)右方注視
目尻切開修正・タレ目形成再手術前(22.01.07)→ 5週後(22.02.12)左方注視
目尻切開修正・タレ目形成再手術前(22.01.07)→ 5週後(22.02.12)45度側面
目尻切開修正・タレ目形成再手術前(22.01.07)→ 5週後(22.02.12)90度側面
目尻切開修正・タレ目形成再手術前(22.01.07)→ 5週後(22.02.12)45度側面
目尻切開修正・タレ目形成再手術前(22.01.07)→ 5週後(22.02.12)90度側面
これまでご紹介したように、美容手術を含むすべての修正・再建手術では、手術によって適切な結果を得ること、そしてその結果が時間の経過とともに変化せず、安定した状態で維持されることが重要です。
そのため、それぞれの状態に合った手術方法を選択し、一定期間継続して経過を確認していく必要があります。
白目の上に膨らんだ結膜を見て、「手術がうまくいかなかったのではないか」と不安に感じていた患者様のお気持ちに、シウォン整形外科は深く寄り添いたいと考えています。
当院では、結膜浮腫を含めた回復過程で起こり得る変化について、手術前のカウンセリングの段階からご説明しています。
また、経過ごとに実際の目の状態を直接確認し、正常な回復過程の範囲内であるかどうかを判断します。
1対1の診療を通して、患者様一人ひとりの回復スピードを確認しています。
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