期待していたすっきりとした、はっきりした目元を目指して目尻切開を受けたものの、目尻の尖った形が失われ、丸く広がって見える「コの字変形」に悩まれている方は少なくありません。
これは単に形が少し不自然になったというだけではなく、目尻を支える外眼角靱帯(lateral canthal tendon)が本来の位置に固定されていない、あるいは誤った位置に配置されることで生じる、明らかな構造的な問題です。
本稿では、コの字変形が生じる解剖学的な原因とともに、現在の状態が一時的な腫れによるものなのか、それとも根本的な修正が必要な変形なのかを判断するための基準についてご案内します。
1. 解剖学的分析:コの字変形と崩れた支持構造
患者様が一般的に「コの字変形」と呼んでいる状態は、学術文献では、外眼角部の皮膚や瘢痕組織が丸みを帯びることで、目の横幅が短く見える状態(外眼角の鈍化・円形化)として定義されています。
正常な目尻の構造をしっかりと維持するためには、以下の3つの解剖学的基準を満たしている必要があります。
目尻のコの字変形の文献上の定義
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外眼角の正常な高さ:
外眼角は内眼角より約2mm高い位置にあり、外側に向かってわずかに上がる正の眼瞼傾斜(positive canthal tilt)を呈するのが正常です。 -
靱帯の強固な付着:
上下の眼瞼板が外眼角靱帯に集まり、眼窩縁から約5mm内側に位置するホイットネル結節(Whitnall's tubercle)の骨膜にしっかりと付着している必要があります。 -
グレイラインの連続性:
眼瞼粘膜の境界線であるグレイラインが途切れることなく滑らかにつながっていることで、尖った自然な目尻の角度が維持されます。
目尻を支える解剖学的構造
このような支持構造が崩れている場合、表面に見える瘢痕だけを整えても、本来のシャープな目尻の角度を取り戻すことはできません。
2. 腫れなのか変形なのか?経過時期とセルフチェックの基準
診療室を訪れる患者様の中には、手術後1か月も経っていない段階で「目尻がコの字になっている」と不安を感じられる方も多くいらっしゃいます。
しかし、手術部位のあざは2~3週間以内、大きな腫れは約1か月が経過する頃に落ち着き、瘢痕の赤みは最長で3か月程度続くことがあります。そのため、見た目だけで手術の失敗や変形と判断するには、まだ早い時期である場合があります。
ただし、以下のような機能的な欠損や明らかな形態の崩れが伴っている場合には、経過をただ待つのではなく、早期に評価を受けることをおすすめします。
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目尻の先端が尖った角度を失い、丸く広がって見える場合
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目尻の内側にある赤い粘膜や結膜が外側から大きく露出している場合
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下まぶたが眼球に密着せず、離れている眼瞼外反が生じている場合
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涙が持続的にこぼれる(流涙)、強いドライアイやしみる感じがある、結膜充血を繰り返す場合
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上まぶたと下まぶたの位置関係がずれ、左右差が著しく目立つ場合
目尻切開後のチェックリスト
3. 再手術ではなく「構造の復元」が必要な理由と手術時期
靱帯が緩み、目尻がコの字状に広がってしまった変形は、単純に目尻の位置だけを調整する「目尻切開再手術」では改善できない場合があります。
再手術は、目尻を支える構造が良好な状態である場合に選択できる方法だからです。
このようなケースでは、瘢痕組織を層ごとに丁寧に剥離して引きつれた構造を解除し、支持力を失った目尻を眼窩骨膜または眼窩骨にしっかりと再固定したうえで、途切れたグレイラインを繊細につなぎ合わせる、高難度の「復元(再建)」が必要となります。
目尻切開再手術と目尻切開修正(再建)の違い
手術時期については、一般的に組織が柔らかく安定するまで最低6か月、瘢痕が完全に成熟する12か月まで待つことが原則です。
ただし、重度の眼瞼外反や結膜露出など、眼球の機能に障害を伴う重症例では、8~12週間程度での早期修正を検討する場合もあります。
目尻切開修正の適切な時期
4. 精密な構造復元に集中するシウォン整形外科の診療方針
期待を胸に決意した手術が、かえって鏡を見ることを避けるようになり、人との関わりにまで消極的になってしまった患者様のお気持ちに、シウォン整形外科は深く寄り添います。
シウォン整形外科では、無理に再手術をおすすめすることはありません。
1対1の綿密なカウンセリングを通じて、現在の患者様の目尻の構造と瘢痕の成熟度を客観的に分析し、機能的な不快感(目のしみる感じ、流涙など)を改善すると同時に、審美的な安定を取り戻せる、最も安全で誠実な復元方法をご提案いたします。
焦ることなく、適切な時期に適切な方法で本来の状態へ戻せるよう、お手伝いいたします。
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