西に南アルプス、東に富士外輪山の間を流れる富士川は、大きく険しい谷間を作っている。
山梨県南部町にある道の駅なんぶに宿泊した後、国道52号線に出たら、高速道路に無料の表示が出ていたので、こちらで甲府方面へ向かった。
地方で最近できた高速道路には無料のものも多い。
それはその設置者が国や県などで道路公団ではないからだ。
地方にはこの無料高速が点在しているので、遠距離から来た運転者にとってはなかなかわかりにくい。
地方、特に山間部の交通不便解消のためにあるのだから、無論その地域の人は良く知っている。
無料なのでありがたかったから、それに乗った。
この途中日蓮宗の総本山のある身延を通る。
山が開けてきて甲府盆地に入ったところは南アルプス市である。
沖縄県コザ市に次ぐ、二番目のカタカナ表記の市だそうだ。
ナビを見ていると左側、西の南アルプスの斜面の途中に県民の森という場所があることが分かった。
時間もあったのでここに行ってみた。
ここは何かキャンプ場みたいだ。
そしてこの中に湖があった。
ここには堰き止められた堤の上に遊歩道があったので、人造湖のようだ。
山中の湖にはよくある景色だ。
しかしここで気が付いたのは向こう側に白鳥が一羽いた。
誰かが近くで見ているようだ。
そしてこの場所に自分も行ってみた。
居つきの白鳥か。
白鳥は渡り鳥で、夏にはシベリア方面へ帰っていくが、冬には日本各地の湖で越冬するものが多い。
しかしこの白鳥は年中ここにいる居つきの白鳥か。
人にも慣れているようだ
仲間もいそうでなかったので一羽で暮らしているようだ。
看板にものは投げるなとは書いてあったが、餌をやるなとは書いてなかったので、持っていたビスケットを与えた。
気が付いたのはその食欲がすさまじいことだ。
水中に泳いでいる鯉を押しのけてビスケットをつまんでいた。
その時くちばしに音を立てながら震える動作をしてしていた。
見かけやイメージに寄らずかなり獰猛だとわかった。
公園のハトなども餌とわかれば、すさまじい争奪戦をしているが、この白鳥はここでは天下を取っているようだ。
鯉は白鳥が首を伸ばすと逃げていく。
体の大きさではとてもかなわない。
この白鳥は長いカモのようなくちばし(白鳥は鴨である)と黒いこぶのあるコブハクチョウという種類で、渡り鳥ではなく周年居つきの白鳥だ。
この白鳥も観光客からのえさで生活しているのだろう。
くちばしを触りたかったが、噛まれそうなのでやめた。
白鳥の寿命は自然の渡り鳥で10年、居つきのコブハクチョウで20年くらいだそうだ。
ストレスがないし、仲間がいないので伝染病にも感染しないのでこのように長いのだろう。
鶴は長寿で知られるが、白鳥の倍は生きるらしい。
やはりこれも居つきのものが長い。
ここは単に公園のつもりで行ったが、ちょっとした白鳥見物になった。






