昨日書いた郷土料理百選の12の寿司料理の中で、巻き寿司は一つしかない。
それは千葉県代表の太巻き寿司である。
銚子をはじめとする九十九里地方では江戸時代より太巻き寿司祭りという形でハレの日などに作られていた。
さらに内房の江戸前の海苔と合体して、玉子焼きも極端に肥大化して今のような形になった。
しかし原型はあくまでも巻き寿司である。
最近は様々な模様をつけたものも売られている。
千葉県の九十九里、銚子地方、さらに成田空港付近のスーパー、道の駅などには自作の太巻き寿司が売られている。
しかし郷土料理百選の中に選定されているのは千葉県のものだけである。
全国にはあるいは回転すし店にはたくさんの種類の巻き寿司がある。
だがこのほとんどは江戸前であり、握り寿司と同様の江戸が発祥のものである。
太巻き寿司の上総の国は江戸に近くまた材料もあるので、ここでは独自のものが発達したのだろう。
ちなみに千葉県は大農業県であり、大漁業県でもある。
大根、ネギ、卵など普段食べるものの大部分が全国生産量の上位に入っている。
4位、ないし米を抜かせば3位か。
これらを以前は、商品作物生産の大都市近郊農業などと言った。
こうした昔からの豊富な素材を集めたものが、この太巻き寿司になったといってよいだろう。
この太巻き寿司のことをこの地方でも伊達巻というが、これが伊達政宗と関係があったのかどうかは諸説ありでよくわからない。
こうしてみると全国にはご当地巻き寿司はありそうだが、実際には見ない。
たとえあったとしても、それは伝統的なものではなく、最近のものだ。
当時酢は高価で、なかなか地方にまでまわっていかなかったし、海苔がとれるのは西日本と東京湾に限られる。
ただ韓国にはギンパという巻き寿司があるが、これは酢飯ではない。韓国の味付け海苔にごま油を入れている。
自分としてもよく食べる。
最近大手スーパーに冷凍もののギンパが並んでいる。
どこかの冷凍食品会社が作り始めたようだ。
巻き寿司が地方で郷土料理として発達しなかったちうのは意外であった。