青森県のラーメンといえば絶対的なランキングが一つある。
それは家庭でのインスタントラーメンの買い置きが日本一であるということだ。
その前にラーメンといえば、札幌、福岡、喜多方などが常にクローズアップされているが、実はラーメン消費量の日本一は山形県である。
いやそれだけではなく、ランキングの上位には北海道、福島、秋田、青森、そしてそれに連なる新潟、栃木などの北日本各県が占める。
栃木県のラーメン店の多さは前にも記事にしたが、新潟県も多かった。
ラーメンは北の食文化かもしれない。
西はうどんだ。
ところで青森県のラーメンといえば、煮干しラーメンと札幌味噌バター牛乳ラーメン。
しかし札幌味噌のほうは札幌ラーメンの派生品なので、青森県の伝統品としてはこの津軽煮干しラーメンだろう。
このラーメンは伝統があり、証言によれば昭和初期にはすでにあったとされている。
発達したのは昭和戦後だが、それでも十分な歴史と伝統がある。
しかし東京ではあまり知られていない。
やはり遠いからだろうか。
札幌や福岡は大都市だから、東京への情報伝達も早いが、青森となるとなかなかそうはいかない。
山形でさえそうである。
喜多方、佐野どまりではないだろうか。
今回青森市内でこの煮干しラーメンの有名店である『長尾中華そば店』を探したが、場所は見つかったもの、この日は月曜日で残念ながら休業。
そこで付近を探したら別のラーメン店が見つかったのでここに入った。
『きむらや』だ。
この店はガイドブックなどやランキングにはないが、この店構えはやる気十分でレベル以上だろうと想像した。
わざわざ青森煮干しラーメンに特化しているところが気に入った。
その前に青森では『煮干し会』という有力店による業界団体があるので、たぶんどこで食べても同じようなものだろうとは想像した。
メニューには同じ煮干しでもあっさりと濃い口、極煮干しの3個のバ-ジョンがあるようだ。
物事はなんでも極端なほうが、特徴が出やすいということで極煮干しの中を注文した。
730円か。
基本メニューはあっさりの中600円だと思うので、やはり少し安い。
スープの濁りぎあいが良い。
どろどろとした凝縮したスープだし汁だ。
実はもっと濁って固体的な感じでもよいと思ったが、スープはあくまでも液体なのでこれ具合が限界か。
煮干しの出汁やかつお節の出汁は、日本人が子供のころから慣れ親しんできた味なので、多少脂濃くても年寄りでも大丈夫だろう。
しかしここ青森県や山形県の老人のラーメン愛をなめてはいけない。
ケンミンSHOWでも年寄りの男女がラーメンをよく食べている姿が放映される。
今生きている世代の人はすべてがラーメン世代なのである。
日清のチキンラーメンは昭和33年の発売である。
私の母は昭和25年に神戸の南京街で食べた初めて食べたラーメンの味が忘れられないと言っている。
また大正13年生まれの父も戦後からラーメンを食べ始め、私をよく近くのラーメン屋に連れて行った。
濃厚とんこつちゃちゃ系や激辛中本ラーメンはちょっと無理だとしても、津軽煮干しラーメンは誰でも食べれる味だろう。
スーパーにも煮干しであふれている。
陸奥湾内でイワシがよく取れるそうだ。
カップ麺もある。
焼きそばのソースにもある。
今日は4月23日だから賞味期限は過ぎているが、自分はそんなに気にしない。
真空パックしてあるので冷蔵庫の氷温庫に入れておけば多分無限に持つと思っている。
今気が付いたが、この竹鼻製麺所は明治11年の創業と書いてある。
これは恐ろしいほどの老舗だ。
ラーメンはまだないからうどんかそばを作っていたのだろう。