新型コロナウイルスが全国的に拡大する中、また車中泊一人旅に出た。
他人との濃厚接触、三密状態を避けるという中で、この形の旅行こそが今に一番適したものではないかと考えている。
今回は2週間前に山形県内で車が故障し(事故ではない)、旅行の継続を断念して応急修理をして引き返して以来、車の修理を行ったうえでの再チャレンジであった。
今回は前回とは反対に太平洋側の道路を北上して、最終的に青森県竜飛岬まで行くという計画を立てた。
もちろん高速道路は使わない。
まずは一日目、川口市を出発して茨城県内を筑波山を左手に見ながら、つくば市内から国道6号線に入ろうとしていた。
正にその時道路わきにでかでかとした目立つ看板を見つけた。
常陸秋そば『日東農場』と書いてある。
そして店の二階に並ぶメニューの看板の中に『ちたけそば』の文字を見つけた。
しかしここは茨城県で、栃木県ではない。
ちたけそばは栃木県の郷土料理で、しもつかれとともに農水省より農山漁村の郷土料理に指定されている。
今まで栃木県内は何回ともなく通った。
国道4号線沿いにも、また日光にもそば店の前にちたけそばと書いた看板は見当たらなかった。
これは本当にこの地方で食べられているのかと疑問を持った。
江戸時代にはあったのだろう。
乳茸はキノコで今ではかなりの高級食材らしい。
秋に収穫するものだが、現在の日本で食べられているものは中国からの輸入品らしい。
なかなか手に入りづらいだろう。
さてそのちたけそばの語句を発見した以上、ここはチャンスと思って、この店に入った。
そばだけではなくほかの定食メニューもある。
ここは和洋中の何でも屋といったところだった。
注文したのは温かいちたけそば。
メニューにはご丁寧に栃木県の郷土料理と書かれている。
ここではソバとか汁の味などどうでもよい。
肝心なのは乳茸(ちちたけ)がどういうものかということである。
出てきたものにはちたけと思われるキノコがたくさんのっていた。
そのほかの野菜類ものっていた。
しかしちたけは一般的なキノコの形状をしているようなので、どれがちたけなのかはよくわからない。
多分黒いやつだろう。それとも全部か。
黒いやつは豚のレバーのように見える。
ちたけと思われる黒いキノコはぬるぬるとしてなめらかでまた柔らかく食感は良い。
ただほかのキノコと同じく特徴的な味はない。
いかにも江戸時代の低カロリーな料理である。
ここで思いがけなく絶滅危惧種に近いちたけそばを食べれてよかった。
今回は最初から調子が良い。
この店は大型店なので常陸秋そばや汁の味はよく、この付近を通った時にはまた来てみようと思った。
もちろん注文するのはちたけそばでそれも冷たいざるそばか。