多分石川県以外の人はこのハントンライスという名前を聞いたことがないだろう。
これは一言でいえばアゼンブル(寄せ集め)洋食である。
ハンとはハンガリーのハンでトンとはフランス語でマグロという意味だそうだ。
したがってハントンには意味はない。
創始者が自分の趣味で付けたのだろう。
こうしたアゼンブル洋食、ないしは洋食コンビネーションはまだほかの地域でもある。
自分が今まで食べ中では、有名な長崎のトルコライス、佐賀市のシシリアンライスがあり、また隣の福井県の武生(越前市)にはボルガライスがある。
今回金沢に行った目的はこのハントンライスを食べることだった。
目的とした店は金沢の繁華街片町の裏道にある洋食の店『オーツカ』。
グルメ雑誌によればこの店が中心店だそうだ。
自分の考えとして1回しかないチャンスでどうせ行くなら一番の人気店。
うまいまずい個人の好みはさておき、とにかく誰もが行く店だ。
もちろん行列は覚悟の上だ。
行列は長いほどよい。
多分この店は昭和の時代にはひっそりとたたずむ古いタイプの洋食店で、オムライスやカレーライス、ハンバーグ、スパゲテイーなどを出していたに違いない。
店のシェフは若いころ大都会のホテルやレストランで修業して、技術を身に着け、ここで開業したに違いない。
親がやっていたのを受け継いだのかもしれない。
しかしこのハントンライスがあたり、店を改装したに違いない。
店が古いままではガイドブックを見て来た客がショックを感じるからだ。
そういう雰囲気が如実に感じられる。
メニューの最初にあったハントンライス。
多分客の注文のほとんどはこれだろう。
マグロのフライとエビフライ、タルタルソースがその特徴のようだ。ほかにスパゲティー、グラタン、
ステーキ、ハンバーグ、スープなどがあるところから洋食店であることがうかがえる。
でもこうした一般洋食を食べたければ、今はほかにもその専門店やファミレスがいくらでもある。
ハントンライスを注文したら結構早く出てきた。
これはチキンライスかオムライスか。
ケチャップでハートのマークが書いてありそうな感じである。
上部に乗せてあるのが、マグロカツ、エビフライ、タルタルソース、ケチャップ。
予想していたように今まであるものの組み合わせであった。
そういえばトルコライスもシシリアンライスも考え方は同じだ。
皿をいくつかに分けるのが面倒だからひとまとめにした。
そして一風変わった名前を付けて人々の好奇心を湧き立たせた。
でも戦略としてはなかなか良いのではないか。
そして最近ではそれがSNSに乗って、全国にも広まる。
客の中には旅行者風の人もいて、盛んにスマホで撮影していた。
自分もカメラで撮ったが、出来上がりを見るとこれは映えていたとは言える写真ではない。
中のご飯は完全にチキンライスであった。
全体的に女性の好みをよく取り上げている。
味は甘かったかどうかは忘れたが、これでビールを飲むというわけには多分いかないだろう。
でもファミレスやファーストフード店のにかよっやようなものよりおいしかったというのは確かだ。
金沢に行ったら加賀御膳や治部煮、寿司もよいが自分としてはそれ以上にこのハントンライス、第七餃子、本場の金沢カレー、8番らーめんをすすめる。