三峰神社の駐車場から少し上に上った所に、よく目立つ茶屋があった。
その前に地元産の素材を使った料理と思われるいもでんがくの看板があった。
田楽は全国的にさまざまな種類のものがあるが、芋は里芋を除いてあまり見かけない。
福島県の中通の南部地方には小さい味噌味のジャガイモ料理である味噌かんぷらがある。
北海道にはでかいジャガイモのふかしたものやその他さまざまな地元ジャガイモ料理がある。
いまだそれくらいしか知らない。
丸く小さな芋は誰が見ても小粒のジャガイモと思ってしまう。
それを串刺しにして焼いているようだ。
田楽だから当然田楽味噌がかかっている。
わざわざこれはジャガイモではありませんという説明があった。
これにはちょっとびっくりした。
中津川芋という名称だ。
芋の形状から見て、これはジャガイモかと誰も思ってしまう。
店の女将はこの芋は皮が薄く、気にはならないと言っていた。
ひとくし買ってみた。
芋は確かに皮が薄いというよりないと言ったほうがよいくらいあの違和感がない。
中身は癖のない舌触りだ。
外側には甘い田楽味噌が塗ってあり、むしろこちらの味が目立つ。
ジャガイモと比べて芋感をそんなに感じない。
高級な芋なのかと感じた。
これは中津川芋という名称だそうだが、この秩父地方の山奥の畑でしか作っていない。
日本に江戸時代以前からあったものではなく、明治時代に伝わってきたものらしい。
だが、いろりろと栽培条件の制限などがあって、この地方でしか作っていなくて、それこそ100パーセントの地産地消品らしい。
都市のスーパーに出荷すれば売れそうな感じだが、大量生産が難しいらしい。
芋が温めすぎでも崩れないというのは大事なことで、ジャガイモにはその点重大な欠陥がある。
この中津川芋は串刺しでつぶれないのだからそれだけでも素晴らしい。
何も知らずに食べたら、まず皮はむいてあり、丸い形がしっかりし、なおかつあまり芋感を感じないジャガイモだと思ってしまうだろう。
つまりジャガイモにしては変だなという感じである。
ただ自分にとっては芋は糖質の塊なので、友人からもらったひとくしでやめた。
境内にある別のお土産店、食堂にはこんにゃくの田楽があった。
味噌おでんと書いてあるが、田楽が発達しておでんになった。
従って同じようなものだ。
これは糖質は心配ないので、買った。
そういえばコンニャクの産地といえば群馬県下仁田地方。
ここ秩父からは峠を一つ二つ超えたところにある。
従って自然条件などはほぼ同じと考えてよい。
秩父がコンニャクの産地であることもうなづける。
このみそおでんは何しろこのたっぷりとかかった甘味噌が凄かった。
名古屋赤みそを過激に甘くしたような感じだった。
コンニャクの田楽は全国にあるので、値段も安いしよく食べるが、味はそんなに濃厚ではない。
コンニャク感はしている。
しかしここのコンニャクには薄いし、口当たりだけで味も何も感じないので、味噌スイーツを食べているような感じだった。
甘味を好む人には土臭いコンニャクの食感より、こちらの方が好みだろう。
何しろかかっている味噌が多いので、味噌が机の上にたくさん垂れてこぼれた。
中津川芋も両方ともコンニャク味噌おでんも両方ともおいしかった。





