全国の1年間に飲む一人あたりの酒にかかる消費支出を比較した統計がある。
このトップは断トツで高知県。
イメージ的には秋田県や新潟県、鹿児島県などが多そうだが、実はそうでもない。
酒好きケンミンは高知県民なのだ。
これは女性も高い比率で酒を飲んでいるということを示している。
皿鉢料理は女性が酒を飲みやすくするための料理であるとも言われている。
要するに正月のおせち料理と同じで、いっぺんに全部盛ってしまって、後でいちいち作ったり片づけたりしなくてもよいようにするためだ。
高知の酒ということで直ぐに頭に浮かぶのは『土佐鶴』。
創業は江戸時代の安永2年(1774年)。
素晴らしいほど古い会社だ。
安永2年といえば江戸時代の中期となるが、多分幕府政治のもっとも安定した時期だっただろう。
その後天明の大飢饉、田沼の政治、寛政の改革などが起こる。
外国ではアメリカ独立戦争がこの時期にスタートしている。
この土佐鶴を作っている土佐鶴酒造は安芸郡安田町にある。
安田町は高知市の50キロほど南東で、むしろ足摺岬のほうが近い位置にある。
各地の日本酒の地酒メーカーは何故か県庁所在地でない場合が多い。
秋田県の爛漫は湯沢市、福島県の名酒は会津地方、新潟県の名酒は南魚沼地方、京都の伏見は町のはずれ、江戸時代には神戸市の存在がまだない灘は大阪のはずれ。
城下のど真ん中に酒を造っている所はあまりない。
江戸時代に何か規制のようなものがあったのだろうか。
土佐鶴をはじめずらっと地酒が並んでいる。
種類がありすぎて何がよいのかわからない。
土佐鶴には各種ランクの商品があるようだ。
この大吟醸原種は500mlで2500円。
一升瓶に直せば9000円。
アルコールの含有率も勘案しウイスキーに直せば、大体1本7000円くらいのもの。
これは今までに見たこともない超高級日本酒だ。
外国の元首の訪日の際に出されるようなものだ。
うまいのには間違いない。
もう一つ特徴があった。
ずらっと並ぶ焼酎の坂本竜馬ブランド。
坂本竜馬の名前は商標権などないので自由に使用できるのだろう。
竜馬と付ければ何事も通るのが高知県の実情か。
西郷隆盛と並ぶ幕末の英雄坂本竜馬は全国に名前が知れ渡っている。
今までは中学校の歴史教科書に坂本竜馬の名前を少ししか出していなかった。
それは特に具体的な何かをやったというわけではないからである。
しかし文部科学省はこれからはきちんとその功績を正式に記述するようにしたということである。
その理由は国民の人気が高いからである。
日本人には能力、実績はあったが、不運な生涯の閉じ方をした人の人気が高い。
源義経、織田信長、忠臣蔵、新撰組の面々、西郷隆盛、高杉晋作、特攻隊の無名戦士もそうだった。
坂本竜馬もあそこで劇的に終わったからよかったのかもしれない。
話は違うが、金正男氏もこののち人気が出るかもしれない。
いや、テレビニュース、ワイドショウで連日放送されているので、今でももう人気は出ているだろう。
しかしこの人こそイメチェン、キャラ変に成功した人は他には見ない。
2001年に偽造パスポート使って日本に不法入国をしたときテレビに映った姿は、するどい眼光で睨みつけるいかにも裏社会の悪徳親分という感じであった。
しかしその後にテレビに出てくる姿は物腰の柔らかいよく肥えた、人のよさそうなおじさんに変身していた。
本当に同一人物だったのだろうか。
これを指摘する専門家もいないので多分同一人物だろう。
何故こんなに変われたのだろう。
後ろにプロデュースする人でもいたのだろうか。
2001年のキャラの状態であったら、今回の件もさもあらんと思われて余り話題にはならなかっただろう。
さらに余計だが、彼の息子もよい。
韓流スターのようで女性に人気が出るだろう
坂本竜馬も同様にもともと商業、貿易に興味がある人だから、生きていたら汚職、悪徳商法などで不名誉な評判を得ていたのかもしれない。
ここで興味のある看板を見つけた。
日本酒の分類、カテゴリー階層が記述してあるものである。
拡大して見た。
最上階層は大吟醸酒である。
精米歩合は50パーセント以下。
これを昔は超特級酒といったのか。
先にあげた土佐鶴大吟醸原酒がこれにあたるか。
吟醸酒が普通の特級酒。精米歩合は60パーセント以下。
一升瓶では一本4000円、5000円くらいはするだろう。
これは冷酒で飲む方が良いそうだ。
燗をするなどもったいないということである。
純米酒が一級種で大体2000円くらいのものか。
本醸造酒が多分二級酒。精米歩合は70%くらい。
しかし今スーパーの酒売り場で、紙パック入りで大量におかれているのが、このカテゴリーか或いはこれよりまだ下の合成酒というものだ。
醸造アルコールを大量に入れたものである。
灘や伏見の有名ブランドもこれらを出している。
地酒メーカーもそれに負けず、大量販売をしている。
『鬼ころし』(山梨県)などがこれにあたるか。
また埼玉県さいたま市大宮の老舗酒造メーカーから出ている『くらのすけ』も激安だが非常においしい。
スーパーでは人気を博している。
最近は安くて不味いものはない。
これはワイン、ウイスキーなども同じである。
安くても飲み口は良い。
近年の酒造り技術の向上の成果だと思う。
これは何だろう。
ダバダ火振栗焼酎とは。
説明を見ると四万十市にこのメーカーの焼酎銀行があって、これを個人でカスタマイズしたものを作って、2年間蔵の中に置くらしい。
非常に珍しくユニークだ。
それこそ地産品を地で行ったようなものだ。
しかし値段が2000円する。
買おうかどうしようか非常に迷ったが、結局はやめた。
この時点ではそんなにすごいものとは知らなかったので、つい出来心でパスしてしまった。
次に高知県に行った時には買おうと思う。