海老煎餅は名前も知っているし、誰でも一度は食べたことがあると思うが、これが名古屋、愛知県の地産和菓子であるということはあまり知られていない。
全国の生産量の95%は愛知県だそうだ。
それも知多半島、西尾市が中心。
普通のせんべいが新潟県ならえびせんは愛知県。
日本に江戸時代、或いは明治時代など昔からある伝統的な産業には、食品に限らず産地がある一か所に集中しているものが多い。
伊勢湾岸自動車道の刈谷パーキングエリア(大きいのに何故かサービスエリアとなっていないのが不思議)と刈谷ハイウェイオアシス。
ここにはえびせんの専用販売所,えびせんべいの里がある。
ここがオープンした10数年前、初めて寄った時、どうしてえびせんべいが、それも大規模に売られているのだろうかよくわからなかった。
しかしもともとお菓子には興味がなかったので、そのままやり過ごしていた。
えびせんが愛知県の特産品なら当然スーパーにも置いてあるはずだということでお菓子売り場を探してみた。
各社、各種のえびせんが所狭しと置いてある。
新潟せんべいを吹き飛ばす勢いだ。
どれを買おうか目移りするが、どれも値段は安い。
しかし中にはお土産仕様の高級品もある。
こういう場合は一体何を基準に選ぶのだろうか。
同じようなものが沢山ある場合。中身を吟味してか、あるいは包みに書いてある語句を読んでか、はたまた包みの色合い、デザインかネーミングのかっこよさか、ブランドか。
子供なら多分包装などで選ぶ可能性が高い。
大人だとどうか。多分各人多様だと思う。
一つだけ買ってみようと思った。
でも私自身も何で選んだのかよくわからない。
何でこれにひかれたのだろう。
三河国という伝統地産品ぽい語句か。
味逸品といういかにも高級品を連想させる語句か。
何となくあまり派手でもなく、地味でもない明治時代の面影を残すせんべいの色合いか。
人それぞれには何か惹かれるものに対しては、いろいろとその価値基準がある。
その結果何となくこれを選んでしまったということになる。
車の中で食べたが、要するに薄味えびせんだった。
だがこれも人それぞれで、これを薄味と感じるかどうかは分からない。


