地産品を探すうえで牛乳は欠かせない。
牛乳には必ず地元農協や協同組合が製造しているものがある。
東京では明治、森永、雪印の三大メーカーのほかに栃木県産や岩手県産、北海道産などのものが混ざって売られている。
地方のスーパーでは逆にメーカー製のものが、地産のものに混ざって売られているという形になっている。
その勢力は拮抗している。
新潟県は酪農はあまり知られていないが、どこにでも地元の牛乳はある。
柏崎、出雲崎付近のスーパーで注目をひく名前の牛乳を見つけた。
その名は良寛牛乳。
明治の『おいしい牛乳』に混ざって健闘している。
『おいしい牛乳』は森永も同じ名前だがどうしてだろう。
試しのみとして一個小パックの物を買ってみた。
普通のスペックで、普通の値段、パッケージの牛乳だが、飲んだ感想として、これはいける。
いわゆる普通の牛乳にありがちなさらっとした飲み心地ではなく、中身が濃く、コクが強く、乳脂肪の香りのする高級牛乳と同じ舌触りがあった。
これは持って帰ろうと思い、1リットル入りを2本買った。
でもなぜ僧侶である良寛の名前が牛乳につけられているのか。
あまり関係というか接点はないような気がするが。
いわんや敬虔な仏教徒である良寛がそもそも牛の乳など飲むはずはないが。
でも仏教の創始者である古代インドの釈迦は、修行のため衰えた肉体を、若い女性の弟子のスジャータが与える牛乳(乳かゆ)を飲んで元気を回復し、悟りの境地に達したという話もある。
そのあたりが接点なのか。
この出雲崎付近にはやたらと良寛という語句が目立つ。
それもそのはず、良寛はここ出雲崎の出身で、江戸時代後期の曹洞宗の仏僧である。
善意の人、手毬などで子供遊ぶなどのイメージで現代に伝えられているが、その万人受けする生き方が、地元の人の誇りとなっているのだろう。
悪いイメージなど微塵もない。
良寛は歌人でもあり、書道家でもあるが、日本の歴史的な文化人としては今一つ知られていないところがある。
優れた和歌や詩も数多くあるが、問題なのは自前の著作がないということに尽きる。
伝えられているものは、すべて弟子による編集のものである。
ほぼ同時代人で、住んでいた場所も比較的近い小林一茶は俳句集を残し、優れた俳人の一人として知られている。
良寛は書もうまいということだから何か自分の歌集でも書けばよかったのにと思う。
良寛牛乳のほかにここだけではないが、県内どこでも目立つものがあった。
それは笹団子。
スーパーや土産物店にはどこにでも置いてある。
戦国時代の上杉謙信が考案したといわれているこの笹団子は、新潟名物、伝統食品としてそれこそ酒、米、海産物に次ぐ位置を占めている。
非常にポピュラーなものである。
また饅頭だからお土産品としても有名だ。
値段はどこでも同じく1個100円くらいだ。
一応5個買ったが、いざ食べる段階になってわかったことは、その5個がわらの糸で連なっているということであった。
厳重に結んであり、ほどくのは少し大変であった。
中身は粘着力が強くある程度の硬さもある団子で、噛みごたえがあり、適度な甘さと笹の香りもした。
正直これも湯沢のスキー場に行ったときに今まで見逃していたものの一つであった。
見たことはあるがそれが新潟名物だとは思わなかった。
一般の饅頭だと思っていた。
家庭でも作っているらしく、笹団子の粉なども売っていた。
追記 本日秋葉原に行ったら、駅のコンコースで規模は小さいが新潟物産展をやっており、笹団子が山と積まれておいてあった。
5本で750円。新潟より3割がた高い。






