今日は、オーストラリアで日本人鍼灸師が、働けるのかという事について、説明しようと思う。NSW州について言えば、日本のはり・きゅう免許で仕事は可能なのである。

NSW州では、鍼灸師の免許制度というのはない。従って、鍼灸の勉強をしてなくても、他人の身体に鍼をぶすぶす刺して、1時間$100請求しても、何ら咎められる事はない。

ただ、事業として展開するには、保健所への届け出が必須となる。保健所には、治療院に、シンクがあり、治療室内の洗面台があって、その蛇口から出てくる湯は40℃に保たれていて、使用後の鍼の処理方法などを治療院のレイアウトと共に提出しないといけない。かなり細かい規定はあるが、鍼灸師として、その証明書を出せとは言われない。

が、医療過誤が起こった場合の事を考えて、損害賠償保険に入る必要がある。$2,000,000くらいの保険に加入していれば、問題ないだろうと思う。

問題は、一点。民間保険の利用が患者サイドで使えない、という点のみになる。「私は、保険に入ってないから別にいい」という人も居るが、保険が使えないという事になると、「あの鍼灸師はモグリではないか?」と思われる。別に思われてもいいだろうが、それでは経営として、成立させるには困難を伴う。

そんな訳で、NSW州でも、ワーホリ、学生などが、友人知人に鍼灸しているという話はよく聞くし、移民法さえ遵守していれば、違法とは言えない。無論、同業者としては、迷惑な話ではある。腰痛患者に対して、「出張します。$30で出来ます」という触れ込みをしていれば、一部の人はそちらに流れてしまうだろうが、それより、日本人鍼灸師のイメージが落ちるし、安く見られてしまう。

NSW州の話というだけで、メルボルンのあるVictoria州においては、鍼灸師は、州政府から管掌されるため、州政府に登録していないと、ワーホリでも、学生でも、鍼灸の仕事をするのは、違法となる。他州については、何も知らないので、お許しを。


South Australia州は、登録制度になってないだけでなく、注射も打っていいというか、規定がないため、注射を局部に打って治療している鍼灸師は多い。