まさに純愛カップルだった。

今を遡ること72年前の1939年5月26日。
その日は、ノーマさんが高校を卒業した日だったのだが、
二人は永遠の愛を誓いあった。

「古風な両親は結婚とは死が二人を別つ日まで愛し続けるものと
思っていました」と子供達は振り返る。
夫婦は4人の子供に恵まれ幸せな日々を過ごしていたのだが、
「父はおおらかな人で、母が全ての帳尻を合わせるような感じでした。
母はよく父を、向こうに行ってよ!と押しのけていましたが、
本当はそんなことはなく、いつも父の傍に寄り添っていました。
いつも一緒にいたかったのです。
もちろんぶつかり合うこともありましたが、それでもいつも一緒でした。」

先週の水曜日、夫婦は街に出掛けていく。
ところが、二人は交通事故にあってしまう。
二人は手を繋ぎあったまま病院に担ぎこまれる。
看護婦は二人を離さずに同じ集中治療室に入れた。
病院でも二人は手を繋ぎあったままだ。
そして夫は午後3時38分に亡くなる。
「ところが何とも不思議なことに父が呼吸を止めた後でも
心電図が動いているのです。呼吸が止まっても心臓が動いている」
看護婦が確認したところ、母の鼓動が握り合った手を通じて
父に伝わっていました。」
そしてちょうど1時間後の午後4時38分に妻も亡くなった。
「父と母は一人になることが耐えられなかったと思います。
だからこの事故は不幸ですが、正直、二人にとってはよかったと
思っています。」
今週月曜日の葬儀に夫婦の葬儀は執り行われた。
もちろん棺の中でも二人は手を握り続けたまま。
そして家族は、二人の遺灰も一緒に混ぜるつもりだ。
了