私の父親というヒトも、ある種のフリーランスでありました。
時々、変な時間に自宅にいることがありまして、
いまでも鮮明に覚えているのが、
小学校から帰ると、父親と母親が昼間っから鍋をつついていたこと。
子ども心に「訳が分からん」
と思ったことを覚えています。
花屋や車屋、家具屋など様々な職を転々として、
結局起業して今は小さいながらも経営者っぽく
たくましく生きております。
「お宅の息子さんが心配だ」と、何度も何度も言う
先生の顔を見ながらそんなことを考えていました。
小学校にも二者面談というものがありまして、
そこでは親と先生が一対一で、
子供についてアレコレと悪だくみをするんですね。
どうだまくらかして学校に興味を持たせるか。
そういってしまうと実もふたもないのですが、
まあわが子に関してはそういうことです。
あきらかに、学校とか勉強とかテストとかに興味がない。
といいますか、眼中にない。
それはいかんだろう、と先生はおっしゃる。ごもっともです。
提出物がまったく出ていない、テストにもやる気がない、
知能が低いとも思えないが、このままでは成績は悪い、
それではもったいないので、
親御さんも協力してくださいよ、と。
はい、申し訳ございませんと
いいながら、冒頭のようなことを考えていたわけです。
心配だ心配だ、と繰り返す先生。
「いや心配することないですよ、子どもの人生はあなたのせいではありませんから」
とは言えない。
わが子は明らかに勉学に向いていなくて、
座って授業を受けるのを喜ぶタイプではないですが、
先生という職業は、そういう子どもたちも
残さず余さずある一定の水準にしつけなければならない訳です。
ご迷惑をおかけしております。
仕事に差支えがあろうことは重々承知でございます。
ですがねえ。
心配するこたないんですよ。
毎日、ハツラツと楽しく暮らしているのが良く分かるから。
忙しくて、勉強してる暇がないだけです。
たまたま、学校教育制度に、
イマイチ向いていないだけです。
たぶん、先生って、先生にしかなったことがないんだろうなあ。
意外と、みんな図太く生きてるんですよ。
毎日、友だちと小競り合いしたり仲直りしたり、
兄弟をおちょくったり泣かしたり、泣かされたり、
ばあちゃんとふたりだけで映画に行ったり、
親戚んちの赤ちゃんをかまいに行ったり、
自転車で冒険したり、犬を川原へ放しに行ったり、
近所で「ひよこ」をご馳走になったりしてるのが忙しいんです。
テレビで「黄金伝説」やってれば見なくちゃいけないし、
「ホームアローン2」をわざわざ録画して待っててくれた、
友だちの家にも行かなくちゃいけないんです。
とは言えないよなあ。
学校以外にも、人生があるんだよ。
でもね、学校で教えるのが先生だから。
申し訳ございません、と頭を下げる母でした。