こどもを「お客さん」にしてしまうのは親。 | shell studio

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「ねーえ、ちょっと味がうすいんだけどー」
はい、居酒屋さんでのおじさんの発声ではありません。

ここは子ども会主催のバーベーキュー大会。

オトナがテント設営したり、U字工に炭を起こしたりしている間、
子どもたちは野球&サッカー&バスケットで大盛り上がりしていました。

おなかぺこぺこにしてから、
バーベキューを思う存分楽しんでもらおうと言う、親心です。
なかなかに良い天気、子どもたちはきゃーきゃー大騒ぎ。
その間、親もあれやこれやと準備に大騒ぎ。
 
一時間ほど汗を流して、いよいよバーベキュー。
子どもたちは30人近く、ずらりとテーブルに並びました。

お父さんたち、次々と肉を焼く肉を焼く肉を焼く!!
お母さんたち、おにぎり握る握る握る!!!
子どもたち狂喜して食べる食べる食べる!!!
みんな汗だくです。

そして、冒頭の一言。小学四年生のかわいい女の子。
「ねーえー、ちょっと」
と、忙しく立ち働くお母さんの一人を捕まえ、
「味がうすいんだけどー」

この言葉もさることながら、態度もビッグサイズ。
完全に自分はお客様モードなんですね。
立ち上がる気配すらなし。

そのお母さんは
「あー、はいはい、焼肉のたれを持ってくるから待っててね」
と両手に山盛りの焼きそばをふるまいつつ答えました。

私は思わず
「味がうすいなら、自分でたれをかけていらっしゃい!!」
と叫んでしまいました。

ちょっとびっくりした顔のお嬢さんでしたが、
「はーい」と返事してぴょんと立ち上がり、たれを取りに行きました。

そうなんですねえ、悪気はないのです。
ただ、自分が何をするべきなのかが分からないだけなのです。
余計なことをして怒られるより、親に聞いた方がいい。

これは大人も悪いと思います。

バーベキュー大会をするのは素敵なアイディアです。
が、机やいすの用意やテント設営、下ごしらえから肉を焼いて配ってやることまで、
親がすべてするものなのでしょうか。

子どもがお米を研いで、キャベツを刻み、箸や皿を配り、
ちょっと熱い思いをしながら肉を自分で焼く方がたぶん、楽しい。
そして親の分まで食事の用意させてやって、親から
「ありがとう!! あなたが焼いてくれたお肉、とても美味しいよ」
とお礼の言葉をもらう。
もちろん、楽しい時間の後は、きちんと片づけまでがんばらせる。

ここまでできたらいいなあ、と思うのです。

何もかもお膳立てをしてやることは、安全だし、段取りもしやすい。
だけど、こどもから、大事なチャンスを奪っている様な気がするのです。

実際子どもに何もかもまかせようとすると、事故も怪我も失敗もケンカもするので、
そっちのが何倍も大変なんですよね。
子ども会主催のイベントで、火傷などしようものなら責任問題にもなりかねません。
だから、実際は難しい。

だけど子どもを「お客さん」にしてしまっていいのかな、と私は少し心配になります。
消費者としての立場が普通であって、生産者になれない。
提供されることに慣れてしまって、自分から動くことが難しい。

用意された結末のゲーム、正解がある問題、ゴールがある授業、
結果が見えるテスト、に慣れてしまって、
何もない空間は苦手。
だって、何をすればいいのか分からないから。

子どもたちから、自由を楽しむ力を奪ってはいないかな。
バーベキューの後片付けをしながら、そんなことを思いました。