「夜9時にようやく妹と電話が繋がった。「あのね。地域包括支援センターがお母さん返してくれないんだわ。会わせてもくれないんだわ。それでね、今日元市役所の職員の人に事情を聞いて来てもらったらね、こっちは妹さんと密に連絡を取り合ってこういう措置を取らせてもらったって言ったんだって。でも年末に電話した時お母さんが連れて行かれた前後にセンターからそっちには何の連絡もなかったって言ったよね」「うん。そうだよ」「半年とかもっと前とかセンターへ連絡したりされたりってあった?」「ずっとないよ。お母さんが施設で骨折した後、隣のグループホームへ入れるように言ったら、あんたが私は手を引けって言った時からこっちは完全に手を引いてる。向こうからもそれ以来何の連絡もないよ」と妹。妹はキツイことも言うが、こういう時に嘘はつかない。年末の声の様子も今の話にも嘘は全く感じられない。「私もあんたを信じるよ。センターは何でそんな嘘をつくんだろう。とにかく、お母さんはいつどこで倒れてもおかしくない状態なんで、会えないのは本当に心配でたまらない。忙しいのに悪いんだけど、センターに一緒に行って会わせてもらえるよう頼んでもらえないかな」「分かった。あのさ、お母さん血圧上が60に下がってたって言ってたよね。それって、いつ倒れてもおかしくないじゃなくて、いつ死んでもおかしくない血圧なんだよね」看護師の妹はそう言った。「⁉︎かかりつけの内科の先生も確かに施設でそんなに下がって心配してたって、朝の分の昇圧剤を貰いにいったら、何でそんなに下がったのかなってびっくりしてたけど、市立病院に搬送された時は、今日すぐに帰ってもいいような事言ってたんだよ」「病院に行ってからは上がってたんじゃない?」「そう言えば市立病院に搬送された時にどういう状況で施設で倒れたか、救急車で同行して来て居たケアマネが普段も血圧がすごく低くてって言ったら、倒れた時の血圧はってドクターに聞かれてその時は測ってませんて言うと、何でその時、計らなかったの!って先生が怒ってったっけ」と私。「心の準備はしておいた方がいいかもよ」と妹は言った。「そんなー!すごく寒い日だからまた家で倒れたら大変だし、心配なので検査入院させてくださいってドクターに頼んで、MRIにも心電図にも異常がなくて2、3日で返されて来て命の別状はないんだと安心してたんだけど」と私は、まさかこのまま会えない事になったらどうしようと、最近の母の姿が瞼に浮かんで、涙が出て来た。
「とにかく、頼むよ。センターに一緒に行ってよ」「分かったよ。ただ今無茶苦茶忙しいんで、少し待って」と妹は言い、「私だったら、その血圧では入院させる」とも言った。「センター長は保健師だって言ってたけど、母は30日の循環器科の受診の予約も行かせなかったんだよ。」「それは、プロなんでおかしいと思ったら病院連れてくよ」「彼女が付きっ切りで見てるわけじゃない」