10/22、10/23の2日間2公演で開催された朗読劇『鴨の音第三夜 相生の轍(あいおいのわだち)』。

23日公演を配信にて鑑賞しました。

キャストは三木眞一郎さん、置鮎龍太郎さん、岸尾だいすけさん、小野大輔さん。

声の出演で野沢雅子さん、皆口裕子さん、中井和哉さん、沢城みゆきさん、下野紘さん。

 

会場は京都下鴨神社。

舞殿のような舞台。

厳かな雰囲気でした。

 

朗読劇って、人気シリーズでキャストさんを替えて公演している演目もありますが、基本は初見です。

特に今回は書下ろし。原作ベースも無し。

パンフにあらすじがあるかもしれませんが、配信ですとパンフはありません。

なので、物語の筋書きを追っているだけで終わってしまうことも、…あったりなかったり。

 

今回も事前情報は全く入れず、キャスト情報のみで拝見しました。

 

しかし話がすんなり入ってくる。

なぜだろう?

話のあらすじも舞台も登場人物も知らないのに、「話」に引き込まれる。

 

15分ほどして、その意味がわかったんですね。

三木さんのお芝居のリアリティ。

「役」がそこにいる? 三木眞一郎の体を借りて?

そして観客に語り掛けているのです。

舞台上で完結しているお芝居ではなく、観客に話かけている体でした。

 

でも三木さんが体でお芝居しているわけでも、表情を付けているわけでもないんです。

台本の活字を声で表現しているだけなのですが、それがアニメで絵がある以上にお役の姿が見えるようでした。

 

朗読劇とはいえ、動きをつけたり、表情で訴えたりすることもありますが(それはそれで鑑賞の楽しみでもある)、三木さんは声の演技だけ!!

なのに役が投影して見える。

これが三木眞一郎の「芸」…!!

 

存在する役としない役

 

一方、置鮎さん、岸尾さん、小野さんは現世界には肉体は存在しない役。

現世界と書いたのは、別世界にいるかもしれない役だから。

その3人が1人の青年の内側にいるわけです。

でも多重人格者の話ではありません。

この3人は「もしかしたらこういう人生があったかもしれない」というパラレルな人達なのです。

 

タイトルの「相生」は一つの根本から幹が分かれることだそうです。

そして一緒に生まれ育つこと、という意味もあります。

 

そこにいないけれど重要な役どころとして、幼馴染の女の子が登場します。

これが1つ、「一緒に生まれ育つ」

そして「1つの根本から幹が分かれる」、それが3人の「もしかしたら人生」。

分かれ道は三者三様です。

 

この、内面にいて観客には姿は見えない、しかし朗読劇のキャストとして舞台に「中の人がいる」という、客層によってはわかりにくい立場なんじゃないかという役どころを、出すぎることなく、そして三木さんがリアリティを表現している後ろでどこかコメディちっくに寄った芝居をしているお三方。

三人のバランスが良かった。

パラレルワールドにいるはずなんだけど、主人公としっかり会話している、「もしかしたら人生」の三人。

後ろでやいやい言いながら、交わっていそうで交わらない会話をしたりもする。

その辺の佇まいがね、これはお互いの役を的確に把握していなければバランス取るの難しいだろうなぁと、見ていて思うわけです。

 

今回、先に書いたように三木さんのお芝居を見て素人ながら…

芝居を観客に伝えるってどういうことだろうか?

と考えてしまいました。

いや、もしかしたら大学の演劇学科とかでは教えてくれるかもしれませんが、ワタクシ、芝居は観る専門なんでね。

表現する側ではないのですが、観ていて深堀したくなったのですよ。

 

先日書いた、情景をイメージさせるということ。

 

 

今回はさらにその先。

そのキャラの心情を投影させ、観客の琴線に触れる。

舞台の上のキャラの心情と、観客の心情をリンクさせる。

これが繋がらないと、どんなに感動的な脚本だとしても、観客は感動できないわけですからね。

琴線に触れるお芝居というのは、声優ですと声のトーンであったり演技であったり、そのアプローチがあると思いますが、「何をどこまで出すか?」

当然ながらやりすぎるとあからさまな演技になってしまい、一気に第三者的に見てしまいます。

朗読劇なら演出家の方がいらっしゃってディレクションはするでしょうけれど、それでも本番で舞台に立っているのは演者ですし、観客は素人です。

 

芝居巧者と呼ばれる役者さんは、観客の空気を読む力も長けているのではないか?

そんな感想に行きついた今回の朗読劇。

 

もちろん、観客の数だけ解釈があります。

1つのお芝居から色々な感想が生まれる、転じて「相生」。

でも個々の解釈や感想が絡んでいくのもまた、想像の余地のある朗読劇ならではの楽しみでしょう。

 

10/29までアーカイブがあります。

 

 

 

 

余談中の余談ですが、三木さんがアップしてくださった4人のお写真。

小野さんの後ろ姿がステキなんですね。

ダンスレッスンに通われているということですが、この後ろ姿だけ見るととても44歳の後ろ姿には見えません。

 

 

 

 

 

※5月に上演された小野さん中心の朗読『フランケンシュタイン』

映像配信があります。

キャストの並びを見ただけで強そうな方々。